26. テロの恐怖再び?

アメリカは今、テロの恐怖に再び怯えています。政府が2月上旬に、テロ警戒水準を上から二番目の「オレンジ」に引き上げたのです。過去に何回も、ハロウィンやクリスマス、独立記念日、9.11一周年と、事あるごとにテロの危険に怯えてきたというのに、今回が最も深刻だというから恐怖です。2月第三週の週末から四週にかけてが最も危険だということで、政府も今回初めて、テロ対策の具体的な方法を勧告しました。

その内容というのは、1)三日分の食料、医薬品といった緊急物資の常備、2)家族間の緊急連絡手段の確保、3)国土安全保障省の公式ウェブサイトを始めとするテロ情報入手先の確認。アメリカの日本語ニュース番組でも、アメリカ総領事まで登場してテロ対策を指導するほど。そんなわけで、第三週の週末は食料品を買いだめする人で、どのスーパーも長蛇の列でした。もちろん、恐がりの私も大量に水を買いだめしました。生物・化学テロの可能性が高いということで、中には粘着テープを買って、窓の隙間や空気孔に貼り付ける人も。標的にされているというニューヨークやワシントンD.Cでは、F16戦闘機で24時間監視飛行が行われ、現地の人たちも地下鉄は極力乗らないように心掛けるなど、とにかく物々しい雰囲気だったのです。

そんな緊張の一週間が過ぎ、テロは起きずにまずはひと安心。ところが、テロ以外の事件・事故が多発してテレビニュースに釘付けとなるのです。17日、シカゴのナイトクラブで、催眠ガスがまかれたことをきっかけに会場内がパニック状態になり、大勢の客が出口へ殺到したために21人が圧死や窒息死したという事件。そして20日には、ロードアイランド州のナイトクラブで火災があり、97人が死亡。今回も客の多くが出口に殺到したものの逃げ遅れたそうです。また、ニューヨークやワシントンD.Cなど東海岸地区では、17日からの記録的な大雪で空港は閉鎖状態。雪の事故で約40人が亡くなったそう。国外では、18日に韓国で地下鉄火災が発生して約200人が 犠牲になるなど、とにかく魔の一週間でした。こんな時期だけに、事件が起こるたびにテロなのではないかと心配になり、精神的にもよくありません。実際、シカゴの事故では、スプレーがまかれた瞬間とっさにテロだと思った人が多く、パニックが増幅したという話もあります。3月末にはいよいよイラク攻撃かとも言われていますが、余計に不安が募ります。

今、世界各地でベトナム戦争以来の大規模反戦デモが行われています。何とか平和的解決ができないものかと願うばかりです。

2003年2月