5. クリスマス
シカゴに来て、12月28日でちょうど一年。去年アメリカのクリスマスが体験できなかった私たちにとって、待ちに待った季節がやって来ました。
アメリカのクリスマスといえば、なんといってもイルミネーションの華やかさ。11月のサンクスギビングディが過ぎたころから、デパートや駅前のショッピング街はクリスマスの飾りつけ一色になります。店の中のイルミネーションはもちろん、道路沿いの木もライトアップされ、夜景はそれはそれはきれい! 田舎の街がまるでダウンタウンのように華やかです。各家庭の飾りつけも、12月半ばになると最高潮に達します。日本人にとっては、やっぱりこれが一番でしょう。まるで映画のような一面のライトアップにはただただ感激するばかり。最近は、夜になるとよなよなドライブに出かけ、「すごい家」の物色をしてしまうほどです。
そうそう、映画で思い出しましたが、クリスマスの映画といえば「ホームアローン」ですよね。主人公のケヴィンの家は、実はシカゴ北部の高級住宅街、ウィネトカにあるんです。今では隠れた名所のひとつになっていて、私たちも先日クリスマスのイルミネーションを見に行って来ました。映画ほどの華やかな飾りつけはありませんでしたが(家の人は意識してないのかな?)、やっぱり雪の夜に行くと映画の世界に浸れていいですよ。実際見るとかなり大きな家だから、ケヴィンはおぼっちゃんだったに違いありません。
近所だけでもかなり感動なのに、実はシカゴには何ヶ所か「電飾村」といわれるライトアップがきれいな住宅街があるそうです。ひとつは昔から有名な元祖電飾村、リンカーン・ウッドで、ボビー・マロリー警部補の家があるところ。もうひとつは、私の家から20分ほど離れたロゼールという街の一角にあります。それを知ったダンナは、途端に大張り切り。ISO800フィルムはもちろん三脚まで買って、写真を撮りに行こうというのです。というのも、社内報でクリスマスの原稿を頼まれていて、その表紙に使ってもらおうと思っているからです。で、先週の日曜日ワクワクしながらロゼールに行ってみると…現地の1マイル手前から渋滞の嵐。ライトアップを一目見ようという車でごった返し、パトロール隊まで出ていました。結局その日は諦めて翌日行ったのですが、月曜日の9時過ぎでも込んでるんですよ。これには参った。でも、込んでるだけあってさすがにきれい。近所みんなで盛り上げているという感じでした。中でも目を引いた家は、玄関や庭の飾り付けだけでなく、屋根も隙間がないくらい色とりどりのライトアップがしてあって、まるでお菓子のおうちのよう。向かえの家と共同で屋根から屋根へライト線を通している家や、サンタさん用にゲートを作っている家もありました。中にはただ目立てばいいと家中ライト線だらけのセンスのない家もありましたけど…お陰でいい写真ができました。冬のシカゴに遊びに来る物好きな方がいれば、一度見に来てください。イルミネーションは2月まで続くそうです。
さて、クリスマスのもうひとつの風物詩(?)といえば、プレゼントですね。こちらには日本のようにお年玉の習慣がないので、プレゼントの数も金額も気合が入っているようです。12月半ばまでデパートは人の山で、歩くだけでも疲れてしまいます。
新聞の広告もすごいですよ。シカゴ・トリビューン紙の日曜版はいつも広告でいっぱいですが、この時期はさらに多くて7センチほどの厚みになります。見ているだけでとっても楽しくなります。私も数人とプレゼントの交換をしました。今ステンドグラス教室に行っているので、ガラスでツゥリーを作ってプレゼントしました。で、ここからがおもしろい。普通プレゼントをあげたらその場で見てくれると思うでしょう。でも違うんです。クリスマスの日に一斉に開けるのだそうです。子供ならともかく大人もそうしてるようです。なんだかかわいい! 私のあげたプレゼントはできればクリスマス前に開けて飾って欲しかったのですが、習慣なら仕方がありませんね。
一方、私にはそんな決まりはないので、もらったその場で開けるでしょう。そうしたらプレゼントの中にレシートが入っていたんです。これは何かの間違いでは? と一瞬思ったのですが、これもどうらや習慣らしい。気に入らなければ返品してくださいということのようです。クリスマスの翌日からバーゲンが始まるので、26日のデパートは大混雑なんですが、プレゼントの返品をする人もいて余計に込むそうです。返品コーナーも特設されるとか。これ以上ないという喜びの表情をしながらも、返品する人って結構いるんですね。理にかなってるけど、なんだか不思議な習慣にカルチャーショックを受けてしまいました。
1999年12月
●写真:おかしの家みたいでしょ?(上)、2000年のライトアップがしてあった(下)