4. ポケモンの人気

友達のジョアンには、16歳の姪っ子ジェニファーちゃんと、10歳の甥っ子アンドリュー君がいます。彼らにはサンクスギビングディに初めて会ったわけですが、特にアンドリュー君は私達に会うのを楽しみにしていたそうです。実は彼はポケモンの大ファン。日本人に自分のコレクションを自慢したかったのと、私達からポケモンに関する情報収集をしたかったようです。

ポケモンがアメリカでもブームになっているとは聞いていましたが、実際目にすると驚きも倍増です。なんでも彼はクラス1のポケモンカードコレクターとかで、この日も大きなファイルを大事そうに抱えていました。ホルダーの中にはきちんと並べられたポケモンカードがびっしり。150あるカードのうちすでに130を集め、もちろんモンスターの名前は全部暗記しているそうです。驚いたのはカードの金額。普通10枚6ドル(日本では291円)で売られているそうですが、プレミアムがついたものは1枚50ドルもするとか。彼のコレクションの中には数枚日本語のカードがありましたが、めずらしさもあるのかこれがまた貴重なんだそうです。私が「日本語のカードなら、近くのヤオハンで売ってるよ」とアドバイスしたら、彼は大喜びして「明日行く」言っていました。

日本のものがこんなにブームになるなんで滅多にないことでしょう。だから私も最初は素直に喜んでいたのですが、最近のショッキングな事件を聞くとそうも言っていられなくなりました。9歳の子供がポケモンに関する口論の末、友達を刺したという衝撃的な事件を始め、ポケモンカードを奪われたり、カードを盗もうと店のガラスを割る事件などが相次いでいます。ニュージャージー州では、「カード会社が、子供達を惑わせてカードを買うように仕向けている」と親たちが製作会社を訴えているそうです。確かに私の子供時代にもリカちゃん人形やキキララのブームがあって、多少もめ事もありました。でも今思えば「人形の服を真似した」とか「一緒に遊んでいて人形を壊した」といったかわいいもので、傷害事件があったという記憶はありません。言いかえれば、最近のおもちゃは、事件が起こるほど子供を魅了する奥の深いものがあるのかもしれません。日本でもこういった事件が起きているのでしょうか。

それにしても、日本のアニメはすごいですね。こちらのテレビでもポケモンはもちろん、ドラゴンボールも放送されています。宮崎駿の「もののけ姫」もアメリカ進出するそうです。キャラクター・グッズもすごい!1年ほど前、近くのウッドフィールド・モールという大きなショッピングモールに、サンリオショップができました。ジェニファーちゃんはハローキティの大ファンで、よく買い物にいくそうです。

日本の製品といえば、電化製品や車が有名ですよね。でも、近い将来アニメに抜かされてしまうのではないかと、最近の勢いを見てそう思いました。

1999年12月

●写真はジョアンとおいっこのアンドリューくん