5. F@@K'N 某ファーストフード
オーケストラホールでジャズを聴いた。ジャズはあまり大きくないライヴハウスで客がひしめき合ってお酒にも音楽にも酔いながら聴くのがぴったりくる音楽だと思っていた。
当日券を買って少し時間があるので、1ブロックほど歩いたところの某ファーストフードでコーヒーでも飲むことにした。この店はちょっといかしてて広い店内にはジャズに関する小物やポスター、楽器までディスプレィされていて、BGMもジャズである。
ホットチョコレートとチョコレートチップクッキーというなんとも甘ったるい組み合わせを注文した。ホットチョコレートはちょうど店頭から切れていて倉庫に取りにいくと言うので、先にお金を払って待った。少し経つと店員が戻ってきて袋を機械に取り付け、すぐに出来あがった。「クッキーは?」と聞くと、それも店頭に無いと言い、取って来ると言う。一回で済ませろ!
なんて思ったけれども待つことにした。
待つこと10分…いくら温和な日本人でも、もう待てない。ここでなにか言わないと、ますます日本人はばかにされてしまうと変な使命感に燃えて、「クッキーはいらないからお金を返して欲しい」と、もう少しきたない言葉使い? で言うと、私のレジをしたひとが帰ったのでお金を出せないという。完全に頭にきたので、「そんなこと私の知ったこっちゃない!これだけ時間を無駄にさせておいてお金も返せないってどういうことだ!!」と、こんなときにだけ英語がすらすら出てくるって…と頭の片隅で思いながら言うと、マネージャーが出てきてお金を返してくれた。
日本の店ではまず、考えられないことだろう。この某ファーストフードに限らず、アメリカではこういうことがしょっちゅう起こる。VICじゃなくともタフでないとやっていけない。
ホットチョコレートを飲みほして、そろそろ時間なので行こうかと思ったとき、「チョコレートチップクッキーあったよー」と店員。「いりません」と答えると、「本当にすみません」とえらく丁寧に謝られてしまい、日本人は怒るとこわいと思われてもいけないなとまたしても考えて、「気にしないで」と言っておいた。
もしかして無料でくれようとしてたのかな…とずるいことを考えつつレジーナ・カーターのコンサートのため、オーケストラホールに向かった。
***前置きのつもりが長くなってしまったので、コンサートの話は次回にしようと思う…それもこれも某ファーストフードのせいです。でも、週に一度はお世話になってます……。
吉野八英 / Yae Yoshino 2000年5月