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「ゴースト・カントリー」を読んで

「ゴースト・カントリー」を読んで

栗林ヨウ子

 読んでいる途中は本当にしんどいと思っても、終わりに近づくと、なにかほっとしたものが心の中に残る不思議な小説だった。ヴィクのスピードに比べて、主人公が4人なのでこれは救いようのない状態だなと思ったが、ホームレスの女性たちもよく書かれていたし、ハリエット・ストンズなども妹のマーラのことを思うやさしい姉に変わっていくなど、ほっとした。
 最近、新聞などで見かける夫婦間暴力のため女性が夫から殴られ、人に言えないという事などもサラ・パレツキーさんは取り上げているし、ボランティアのやっている教会のシェルターも良いとはいえないものがあるみたいだ。
 先日コッポラ監督の『レインメーカー』という映画を見たが、やはり主人公が愛している女性が、夫婦間暴力で大ケガをおわされて、病院に入院。退院して夫を殺すという悲劇になる。映画では弁護士と幸せになれるという筋だったが、こんな幸せはありえないように思う。
 きっと『ゴースト・カントリー』でも、こんなことをサラさんは言っているのではないかと思った。

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