中村獅童の「丹下左膳」
今年も半分終わった。今年は忘れずに行こうと思っていた土佐稲荷神社の茅の輪をくぐってきたから、この夏の健康は大丈夫でしょう。
テレビの大型時代劇スペシャルで「丹下左膳」があった。左膳を歌舞伎の中村獅童がやった。コマーシャルでしか見たことがなかったが、金髪でかっこいい男の子だよね。大河内伝次郎はとことんはまり役で、他の人の左膳なんか見たくないような気持ちなのだけれど、逆にいきの良い若い子がやるのもいいなと思ってしっかりと見た。ストーリーを忘れていたから思い出せてよかった。
子どものとき、兄2人と弟1人といっしょにチャンバラごっこをして、「姓は丹下、名は左膳」とか言って片目をつぶって片手を後ろに隠し、おもちゃの刀を振り回して遊んだっけ。「春雨じゃ濡れていこう」というのもやったなぁ(これはチャンバラでなく塗れ場)。「コテツはよく切れるのぉ」というのもやった。これらは家にあった古本の時代小説を読んでやった遊びである。
その後は60年代の終わり頃にヤクザ映画を見るまで、長いこと時代劇とは切れていたが、最近は京都テレビで東映や大映の古い時代劇をやるのでよく見る。市川雷蔵がいい。着物姿で激しく動くと太ももが見えるのがすごくセクシー。それから、ずっと昔、俳優座の芝居で見た「四谷怪談」の仲代達矢は色気があってめっちゃよかった。「首が飛んでも動いてみせるわ」という台詞のよかったこと。仲代も太ももが魅力だった(笑)。
話がそれたが、今日の左膳はよく頑張っていたと思う。昔なら目の上からさっと斜めに切り傷が描いたように入っているだけだけど、今日はとても凝ったメイクだった。そしてやっぱり太ももが見えるところがよかった。うーむ、中村獅童さん、惚れ込むところまでいかなかったけど好意を持ちました。
2004.6.30
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橋本治「上司は思いつきでものを言う」続き
「上司は思いつきでものを言う」ことについて、ひとつの“会社”とそこで働く会社員を例にあげて説明しているのだけれど、わたしのように“会社”を知らない人もおもしろく読めた。そして、“会社”で働いている人も納得して読めるのではないかと思った。
思いつきでものを言う上司への対処法は、ただその上司に対して「あきれること」だという。わたしは会社員でないけれども、“上司”的な人とのやりとりが多いので、ふんふんと思った。これから“上司”的な人が出てきたら「あきれる」ことにしよう。【それを「戦い」という不毛にしない方法】という章があるが、わたしがいつも選んでしまうのは「戦い」なんですね。【怒鳴って、その興奮が冷めた後で思うのは、「あの高揚感はなんだったんだろう?」という疑問だけですから・・・】これなんである。まずは、あきれて聞き流す、反省の様子がなかったら「ただそうですか」と」言って引き下がる、これね。うん、うん。
この本はこんなことだけじゃなくて、日本における儒教思想について、官僚機構について、官と民について、もってまわった言い方ではあるが、やさしく説明してくれる。つねづね感じていたことをずばりと教えてもらえてよかった。そして、結論にいたるまわるくどい文章を読むのが楽しい。「あきれる」にいたるまでの寄り道も楽しい。
2004.6.29
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橋本治「上司は思いつきでものを言う」
橋本治の本は最近は読んでいないが、とても好きな時期があった。「窯変源氏物語」は全部読んで感心したし、「花物語」(絵・さべあのま)は大切にしまってある。ずっと昔には「桃尻娘」「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」「秘本世界生玉子」などを愛読したものだ。ほんとにあたまの良い人だと思う。語り口に引きこまれるのが気持ちよかった。
「上司は思いつきでものを言う」の新聞広告を見ていて、おうおう治ちゃん(失礼)なにやってねんなー、とか思ったままだったが、昨日の「朝日新聞」書評ページ「ベストセラー快読」で紹介されていたのを読んでやっぱり買おうと思った。相変わらずのもってまわった書き方らしいが、それがベストセラーになってるなんてすごーい! あわてて買いに行き、昨日・今日でざっと読んでしまった。おもしろかったしためになった。橋本治はいつも真面目な人なのだ。もう一回ゆっくりと読むつもり。タイトルに惹かれて買ったサラリーマンの人も最初は戸惑うだろうけど、読んで勉強になったと思う。
わたしは会社勤めはしたことはあるが、零細企業ばかりで、本当の会社というものは知らない。社長や専務はいたけど、そういう名前のついている人というだけで、“上司”という言葉も意味も知らなかったくらいだ。人に言うときだって“えらいさん”くらいの呼び方ですませていた。ええかげんなやつやった(笑)。その後は自営業で、サラリーマンの下にいる。この本によると、【サラリーマンの下には「零細なお出入り業者」もいるのです。】というわけだ。
話は変わるけど、掲示板をやりだしてから、書き込みされる人によって、上からものを言われたように感じて、妙な反発心がわき上がることがよくあった。この本を読んでわかったのだが、ははん、これが“上司”的態度なんですね。まったく「上司は思いつきでものを言う」のだ。
買って読んでほしいけど、立ち読みするなら「あとがきのあとがき」で笑えます。わたしが引用した部分もそこにあります。(集英社新書 660円+税)
2004.6.28
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ゆったりと休日
昨夜3時過ぎくらいだったかな、サッカーを見ようとテレビをつけたら、前半が終わったところらしく女子アナウンサーが出ていて、あと1時間くらいで夜が明けると言った。夜が短いんだ。そういや夏至はいつかと調べたら21日なのであった。気にしていないうちに過ぎていってしまってたー。
今日はだからお昼前起き。朝昼兼用ごはんを食べて洗濯して、雨が上がったようなので散歩と買い物に出かけた。行き先はもちろん堀江で、まずカフェ「ガレージフラワー」に行って、のんびりとおいしいピクルスをおかずにビールを飲んだ。店に置いてあるCD(カルカヤマコト「Black
and Browny」)が気になったのでかけてもらい、気に入ったので買うことにした。おいしいクッキーも買った。
ぶらぶらと歩いて雑貨店「ニート」に行き、石けんホルダーと夏の部屋履きを買ったが、ふと見ると草で編んだバッグが呼んでいる。2,525円、それなら買える値段というところが迷うところなり。いくつ同じようなバッグを持ったら気が済むねんと言われつつ買ってしまいました。
安売りスーパー「玉出」で晩のおかずの材料を買って帰るはずが、今朝の新聞の書評で見た、橋本治の「上司は思いつきでものを言う」をむしょうに読みたくなり、OCATの丸善まで行った。うちから難波まで歩いてしまったことになる。帰りは地下鉄にしたけど。昨日もジュンク堂で本を2冊買ったので、明日からは財布の紐を引き締めていかなくてはいけない。
2004.6.27
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「女たちの便利帳 5」
例会から帰ったら「女たちの便利帳 5」が届いていた。「情報はチカラ。女性の活動を紹介する情報誌[全国版]」とサブタイトルがついているこの本は、ジョジョ企画から隔年で発行されている。ヴィク・ファン・クラブは2回目(1998年)から載っているから、今年で6年目を過ぎることになる。当時の会員が絶対連絡すべきだと用紙を送ってくれたもので、わたしはこういうことには消極的なのだが、項目を記載して送ったら採用され、現在に至っている。その会員はとうに辞めてしまったけれども、こちらはずっと続いている。この本に存在をはっきりと示しているのだから、再来年に次の号が出るまではVFCをなくしたらあかんと、わたしは律儀に考えているのである。
大阪府のページを開いて見ていったら、なななんと、VFCは「性差別」の項にあった。そりゃ、性差別をする団体とだれも思わないだろうけど、ちょっとひっかかる。あいうえお順ということで一番前にあるんだけど、後は立派な団体名が並んでいて、なんか申し訳ないような(笑)。
日本全国の女性団体やお役所、弁護士や医師、書店や出版社、雑貨店や食べ物屋などなどがぎっしり詰まっていてなにかと便利な本である。(ジョジョ企画 2800円+税)
2004.6.26
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レオ・ブルース「ロープとリングの事件」
「剣客商売」が一段落したので、しまってあったクラシックミステリーを出してきた。国書刊行会の世界探偵小説全集の1冊で1995年発行。それを読まずに置いてあったのだから贅沢な話である。
レオ・ブルースの名前ははじめてで、先にあとがきを読んだら、再評価した研究家が「アガサ・クリスティにも比肩しうる」と書いているのを紹介している。また、日本にレオ・ブルース・ファン・クラブがあることも紹介している。本が出た時点で既に12年になるとあり、日本よりも海外でよく知られているとのことである。
以上の前知識を得て読み出したわけだが、全部を読んでいないのに書こうと思ったのは、さっきまでテレビで「ハリー・ポッターと賢者の石」をやっており、用事をしながらちょこちょこ見ていたからだ。この映画の見せどころは、魔法やらなにやら、可愛い男の子と女の子やら、そして名優が出ていたりといろいろとあるわけだが、イギリスの全寮制の学校への憧れを呼ぶ、という要素もかなりあるように思った。「ロープとリングの事件」は全寮制の学校での事件なのである。
この本は、シャーロック・ホームズとワトソンのように、作家が私立探偵の仕事ぶりを本にするということで、いっしょに調査について歩く。探偵と言ってもビーフは引退した巡査部長で、スマートでもなんでもない粗野な態度の男なのである。作家のほうはついていてヒヤヒヤしたりイライラしたりする。
事件はエセックス海岸よりの一流のパブリックスクールであるペンズハースト校で起きる。たまたま作家の兄がこの学校で教師をしているので、ビーフと作家は出かけていき、殺された青年アランの父親が依頼人となって調査をはじめる。ビーフは病気の門番の代わりになって、学校に入り込むことになった。
門番の仕事をすませて聞き込みをしていくうちに、アランは街のパブの女性と親しく、門限を超えて遊んでいたという話を聞き出す。そのパブを探すために1軒ずつビールを飲んで歩いたり、その女性を見つけたと思ったら、店でやるダーツ大会に出ることになったりする。さて、後半どないなるのか楽しみ。
目下、寮生活やイギリスのパブのダーツ大会がおもしろくて、クラシックミステリーもなかなかよいなと思っているところである。
2004.6.25
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蚊よけ線香
今日の朝日新聞夕刊の「くらしの良品探訪」欄に「蚊よけ線香」が出ていた。無農薬で栽培している除虫菊で作っている「菊花線香」を、ずっと我が家は使っている。「蚊取り線香」では全然ないところがよい。蚊が死なないでどっかに逃げ、線香が消えたら戻ってくるんだから「蚊取り線香」とは言えないよね。わたしは昔風に「蚊やり線香」と言っていたが、なるほど「蚊よけ線香」かー。
よい香りではあるが、梅雨時の閉め切った部屋でつけると、朝起きたときの匂いがちょいときつい。パジャマにしみついている感じである。1本まるまるでなくて、折って3回くらいに分けて使っているのだけど。もう少ししたら開けっ放しで寝るので、毎晩1本ずつつけることになるが、そのときは陶器の猫の線香立ての出番である。暑さを楽しまなきゃ。
今年は蚊が出てくるのが遅かったように思う。「菊花線香」を用意していたもののつけずにきていたのだが、先週の土曜日の真夜中目がさめたら、両腕がぼこぼこにかまれている。寝ぼけ眼で線香をつけた。それ以来、毎晩1/3本ずつつけて寝ている。
今日の献立
朝:野菜スープ、トリ胸肉の蒸したもの+刻みキャベツ、紅茶。
昼:野菜パン、キュウリのサラダと木次のカマンベールチーズ、ミルク、紅茶。
晩:ビール、イカの塩焼き、ごはん、みそ汁(豆腐とネギ)、冷や奴、モヤシのごま和え、納豆、焙じ番茶。
2004.6.24
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四ツ葉のクローバー
本町方面に行くのでちょっと回り道をして、ビオトープを眺めていくことにした。そこへ行く途中の蕎麦屋の前にカボチャが鉢に植えてあるのを見学した。直径10センチくらいの実が生っていた。カメにはメダカがたくさんいる。ちょっとした個人ビオトープである。
公園に入るとまだ柵がぐるっと取り囲んで、養生中のままであった。顔を押し当てて見ていると池の周りをトンボが飛んでいる。池のそばに石碑が建っているのを見たら、ここは大阪商業訓練所の跡とある。大阪市立大学の前身だそうな。
この前ここで四ツ葉のクローバーを見つけたなぁと、同じところを眺めたら、なんとー、また2本の四ツ葉のクローバーを見つけてしまった。幸福のしるしを4本も見つけてどないする(笑)。
1本は大切な友達に嶽本野ばらさんの「それいぬ」にはさんであげた。乙女らしい・・・と自分で言ってりゃ世話ない(笑)。
それで思い出したが、四ツ葉のクローバーって、同じところによくあるものなのね。ずっとクローバーの群生しているところに行くことがなかったから忘れていたが、それこそ乙女のころはまとめて見つけたものである。服部緑地公園までサイクリング(流行ってた)して、お弁当を食べた草地でよく見つけたっけ。サガンとかセイヤーズとか森茉莉とか、古ーくからの愛読書にはさんであるのを見つけると、はさんだころを思い出す。
2004.6.23
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「剣客商売」はハードボイルドだ
「剣客商売」、これはハードボイルド私立探偵小説だよなぁ。まるでヴィク・シリーズだと感心しながら読んだ。比べて「鬼平犯科帳」シリーズのほうはハードボイルド警察小説だと思う。
「剣客商売」はヴィクに比すべき秋山小兵衛がいて、ロティ役にはちゃんと医師の小川宗哲がいる。サル・バーテルのバー「ゴールデングロー」や「ベルモント・ダイナー」のように、料亭「不二楼」や「元長」がある。弁護士のカーター・フリーマン、なんでもやってくれる警備会社「オールナイト・オールライト」のストリーター兄弟がいるように、弥七や傘徳や又六がいる。
事件は小兵衛や大治郎が道路や蕎麦屋で出くわしてはじまることが多く、よく見れば昔知った顔とか、世話になった人に関わっていることが多い。そして事件に深く関わっていくと、悪徳武士がいて、徳川幕府の中心にいる田沼意次にまで関わりが及ぶ。まるで、従兄弟や叔母や姉妹のように育った女性の事件に関わって、調べていくうちに政治や経済の中枢の腐敗にいたる、ヴィク・シリーズの事件のようだ。
小兵衛には若い妻のおはるがいるが、ヴィクにはミスタ・コントレーラスがいる(これは冗談)。
2004.6.22
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台風のあと
昔はなんであんなにたくさん台風が来たのだろう。子どものころ屋根が吹き飛ばされて押し入れが水浸しになったような記憶がある。風が吹き荒れている間、ナンマイダブと母親がつぶやいていたような記憶もある。そういう記憶があるので、わたしは台風と聞くと、お風呂に水をはって、ろうそくや懐中電灯を用意し、窓にガムテープをX型に貼るなどを大真面目にやり、長いこと人に笑われてきた。今日はなにもする気が起こらなかったのは、幼児体験からの脱却ができたのかも(笑)。
今日の台風のくる前の蒸し暑さといったらなかった。ちょっと睡眠不足もあったのだが、アタマが重くて目眩がしそうで、風が吹き荒れているときに横になってしまった。爆睡して目が覚めたら風は収まっていた。起きて腰湯をゆっくりして、ようやくいつもまではいかないが元気を回復した。
VFC BBSを閉じたことについて、電話とメールを何件かいただきました。みなさん、「kumiko BBS」にしても来てくださるそうで、とてもうれしい。「剣客商売」に例えるなら、秋山小兵衛が「秋山道場」を閉じて、隠宅に引きこもったということかな。VFC
BBSの大看板はおろしたけれど、kumikoページを隠宅として、来客をお持ちすることにします。まだ書き込みする意欲がわかないので、もうしばらくお休みしてから引っ越しします。そしたら隠宅のこととて、あまりおかまいもできませんが、ゆるりとお話できるかと思います。
2004.6.21
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1968年東映映画「緋牡丹博徒」
テレビの深夜映画でやったのを録画して見た。この映画は当時の封切りで見ていなかったし、ビデオでもテレビでも見たことがなかったので大収穫であった。1960年代後半から70年代前半にかけて、わたしは東映ヤクザ映画をたくさん見た。なかでも感動したのは「日本暴力団・組長」(1969)で、滅びゆく正統的ヤクザの典型を演じた鶴田浩二にいかれてしまった。当時はどちらかというとこのタイプの、リアリズムという感じの戦後ものが好みだった。もう少しあとになって様式美の「昭和残侠伝」がよくなった。「緋牡丹博徒」を見だしたのも後になるので、シリーズ全8作の後半は見たのだけれど、第1作は見ていなかった。
映画とジャズに夢中な時代で、ヤクザ映画だけでなく、アートシアター系・・・ベイルマンとかブニュエルなんかを眉に皺をよせて見ていたものだ。映画の古典ドイツ表現主義の上映会も追いかけて見ていた。つまりバリバリの映画少女(笑)だった。そしてジャズのライブに行ったり、ジャズ喫茶で長居したりと、仕事はしていたけれども、遊ぶのが忙しかった。いまもたいして変わらんけど・・・。
そんな頃を思い出しながら見た「緋牡丹博徒」は山下耕作監督である。わたしはどっちかというと、加藤泰や鈴木清順よりも山下耕作のほうが好き。きちんとした演出で、けっこう複雑なストーリーが展開される。藤純子の比類なき完璧な美貌がすごい。高倉健のストイックな美しさ、若山富三郎のユーモア、待田京介の愛らしさ、清川虹子のいさぎよさ、みんなよかった。
藤純子の緋牡丹のお竜が、悪いほうのヤクザの親分に「酌をしろ」ととっくりを渡されたのを受け取って、「あたしは酌というものはしたことがなかばい」と親分の顔に酒をぶっかけたときのカッコよさにしびれた。清川虹子もまた大阪堂島の女親分で貫禄十分な上に、情のあるいい女をしっかりと演じていた。
2004.6.20
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ガラスの小瓶
心斎橋の酒屋マルシェで日本酒、焼酎、オリーブオイルなどの量り売りをしているというので、相方がまず日本酒を買いに行った。蔵元で飲むのと同じように桶からのお酒を飲めるといううれしい話である。手ぶらで行ったので、まず瓶を買うことになる。それに桶からの量り売りを2種類してもらって帰って来た。「今度きはるときは、この瓶を持って来てくださいね」と言われたそうだ。昨日の話である。
ほらこれ、と言われて受け取ったら、可愛いガラス瓶で、1本はウイスキーのポケット瓶(いまでもウイスキーのポケット瓶というのはあるのだろうか)のかたち、もう1本は丸い瓶だが上が斜めになっていてとてもおしゃれ。冷たいそのお酒を飲んだのだが、両方とも、うーん、うまかったー。
瓶は洗って今度お酒を買いに行くときまで机の上に飾ってある。昨日は東急ハンズでスプレー瓶を買ったので、一度にガラス瓶が3つになった。もともとガラス瓶は好きでたくさん持っていたのに、震災のときに処分してしまい、それからは手元にきれいな瓶があることはなかったのにいまごろ気がついた。たった100円の瓶だけど見ているとしあわせになる。スプレー瓶はずっと高かったけど。
2004.6.19
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ベルリンブックスでちょっと一息
心斎橋へ用事で出た帰りにベルリンブックスに寄った。ここの本棚の内容はうちの本棚と似ている。というくらいに、わたし好みの本がある古書店である。そのかなりがうちにあるのが残念(笑)。これだけの本を揃えていたら、売りたくない本もあるだろうな。
CDの棚を見ていたら、なつかしいヒューの「アーントサリー」があった。80年頃にロックマガジン社から出ていたLPを最近CD化したものである。買わなかったけど、女主人とヒューのことやロックマガジンの阿木さんに20年ぶりで会った話などした。世間は狭いなあ。
今日買った本は、矢川澄子・文/宇野亜喜良・絵の絵本「おみまい」と嶽本野ばらの「それいぬ」(また買った、あげたい人がいるので)と、絵はがき6枚。ほくほくして店を出た。
そのあとは東急ハンズに寄って、YOKOさんに送っていただいた「竹酢液」を入れるスプレー瓶をさがした。とてもきれいな透明で細長い瓶を見つけてご満悦。こういうのはちゃんとしたのに入れなきゃね。ささやかな悦び。
ああ、晩ご飯どないしょ、スーパーに寄るのはしんどいなあと思いながら、クリスタ長堀を歩いていたら、ソニービルの下のところで長崎県物産展をやっている。ちょっとのぞいたら干物やさつま揚げを売っている。もう閉店したいから負けまっせと言われて、甘鯛とかますの干物と大袋のイリコを買った。家に戻って今日は贅沢やでと甘鯛を見せたら、酒買ってくると相方が走って行った。心斎橋の酒屋マルシェで日本酒の量り売りをしているのだ。
今日の献立
朝:バナナ、ヨーグルト、野菜スープ(ニンニク、タマネギ、ニンジン、エリンギ、ピーマン、インゲン、トマト、コーン、コリアンダー+スープストック)、ハムとサラダ(トマト、レタス、キュウリ)、紅茶、コーヒー。
昼:野菜パン、黒豆パン、ポテトサラダ+ルッコラ、ミルク、紅茶、夏みかん。
晩:日本酒(四天王生しぼり、安芸のしずく)、甘鯛の干物、おから(シーフード入り)、レタスのおひたし、ご飯、みそ汁(大根、シメジ)、キュウリとキャベツの浅漬け、焙じ番茶。
2004.6.18
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池波正太郎「剣客商売」16冊目、最終回「浮沈」
いよいよ最後の1冊となった。このシリーズは18年間にわたって書き続けられてきたが、作者の死去によりこの「浮沈」で物語は終わってしまった。とは言うものの、物語は中絶という感じはしなくて、すべて書き尽くしての終わりのような気がする。田沼意次の失脚、秋山小兵衛の徳川武家社会への絶望感と老い、そして、さまざまな登場人物に決着がついていく。また、小兵衛は93歳まで生きるが、小兵衛よりも早くおはるも弥七もこの世にいなくなっていると未来まで書いている。
物語そのものは、ますます巧みになって、いろいろな登場人物が出てきて結びつき話が進んで行く。
昔試合をして負かした相手にそっくりな青年に出会い、話をすると、やっぱりそのときの相手の息子山崎勘之介とわかる。勘之介は敵討ちなどする気がないという。小兵衛は彼を結局助けることになる。
また、顔で損をしている金貸しの平松多四郎および息子の伊太郎と、小兵衛の関係がすがすがしい。多四郎が無実の罪で打ち首にされる。獄門にさらされている首を盗みに行くという伊太郎を助ける、小兵衛の親のような愛情が楽しい。
なんやかんやと読みどころの多い作品だけれど、いちばん楽しかったところ、それは又六と秀の結婚である。ある日、小兵衛の隠宅へ又六が現れる。その向こうに女性が見えるのが、誰かと思えば杉原秀なのであった。すでに妊娠中なので、又六の母親を説得してほしいという。2人は武士と町人という身分違いである。秀は武士の娘で亡き父がやっていた道場で、百姓たちに剣術を教えて生計を立てている。この前の事件では又六といっしょに行動することが多かった。そのときに情が移ったらしい。又六はこのシリーズの前のほうに出てくるのだが、うなぎの辻売りをしていて、兄に売り上げを取られるのを防ぐ為に、強くなりたいと大治郎に師事した間柄である。母親ともども、なにかと小兵衛の役に立ってきた。弥七が又六によい結婚相手をさがしてきたところへの、この報告である。
最後に小兵衛75歳のときの1シーン、そのころは、もう、以前のようにしゃべることも少なくなり、おはるを相手に黙然と日を送っている。そこへ京都に住む伊太郎が妻を連れて挨拶にくる。その穏やかなやりとりでこのシリーズは終わり。(新潮社文庫 476円+税)
2004.6.17
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ブラームスが好き
たまーにこのページを読んでくださっているかたからメールがとどく。なんかもう・・・すっごくうれしい。最近はミステリーファンからのメールが全然ない。ミステリーのことをあんまり書いてないからだろうが、ちょっとさびしい。サラ・パレツキーファン、ヴィクファンからのメールがこの数カ月全然ないのもさびしい。検索からのアクセスを調べると、とってもたくさんのかたがヴィクを検索されて、ここへきておられるのだが・・・、ヴィクへの気持ちのありかたが違うのかもしれない。
数からいくと、乙女ものやサブカルチャー的なことについてのメールが一番多い。かなり熱を入れて書いてくださるのがうれしい。返信も力がこもるしお役に立ちたいと思う。
今日も1通うれしいメールがとどいた。返信を書いていたら、「明日プレイエルホールで音楽会があります。ブラームスはお好きですか」というフランソワーズ・サガンの作品の中の言葉が浮かんできた。こういう言葉が浮かんでくるようなメールのやりとりが好きだ。
「ブラームスはお好き」を読んだころ、私はブラームスが嫌いだった。なんでサガンはブラームスなのって思っていた。それが10年くらい前から好きになった。同じくらい嫌いだったリヒアルト・シュトラウスも好きになった。人間長生きするものだ。食べ物の好みは変わらないが、音楽の好みは変わるんだ。
2004.5.16
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コリアンダー
毎朝野菜スープを食べることにしている。肉類は使わず、野菜をオリーブオイルで炒めて、くず野菜で作ったスープストックを使うだけなので味が平板になる。それを補うのがスパイスで、コリアンダーとタラゴンを入れることが多い。野菜はニンニク、セロリ、タマネギ、ニンジン、トマトが基本で、あとは季節のものをなんでも入れている。
今朝はスープとアボカドサラダをつくったのだが、アボカドサラダは丸元淑生さんの本によると、あったら生のコリアンダーを使うようにとある。いままでなかったから使わなかったが、いまはあるんですぅ。ベランダで初収穫した。そうそう、スープも今日は生コリアンダーでいこう。結果はとてもおいしかったです。
今日の献立
朝:バナナ、ヨーグルト、野菜スープ(ニンニク、セロリ、タマネギ、エリンギ、ピーマン、キャベツ+スープストック+コリアンダー)。サラダ(アボカド、タマネギ、トマト、コリアンダー、レモン)。トースト、紅茶、コーヒー。
昼:ざるうどん(乾麺を茹でて)、出汁、ショウガ、ネギ、梅干し。ロールケーキ、紅茶。
晩:ビール、タコのキュウリもみ、トリレバー炒め(レバー、シシトウ、ショウガ、ニンニク醤油)、ごはん、みそ汁(わかめ)、梅干し、ゆかり、焙じ番茶。
2004.6.15
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こころ穏やかな日々
去年までなんであんなに阪神タイガースに夢中だったんだろう。それが何十年も続いたのだから驚きだ。毎日のようにテレビで一喜一憂して・・・あれってなんだったんだろう。今年は冷静なもんだ。一応新聞のスポーツ欄には目を通し、ファイターズの成績を見て、新庄、坪井、川尻のことが出ていないかチェックする。タイガースのところも読むけれど、勝っていても、負けていても、あっ、そう、って感じ。野球のテレビを見ないと時間が他のことに使えるし、血圧も上がらないからええわ。こころ穏やかな日々です。
去年の前に優勝した年は梅田から御堂筋を行進して道頓堀へ行き、道頓堀への飛び込み第1号を目の前にした。そしてそれから18年間、ずっとダメトラとグチを言いながら好きで好きで応援し続けてきたのだった。
それなのに、いやを通り越して、無関心になってしまったのね。そうそう、去年の3割打者に「お前、二塁やっとけ」って、あの言葉をどこかで読んたときからだわ。
2004.6.14
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梅田へ行ったらヨドバシ
ヨドバシ梅田店ができてから3年くらい経つだろうか。大阪駅から眺めたことがあるだけで、店内に入ったことがなかったが、今年になってからはもう数回行っている。急に大量のプリントをするはめになって、プリンターのインキを買いに走ったのが最初である。
パソコン関係の買い物はずっと律儀に日本橋のソフマップに行っていたんだけど、先々月、iMacが欲しかったときに全店に在庫がなくて、だからよけいにすぐ欲しくなってアップルストアで買ったのだった。そのときはまだヨドバシは選択肢になかった。
その後、シャーロックホームズでご飯を食べたあとにちょっと寄って、全店を見て回り、商品が豊富なことに驚いた。それ以来、西梅田へ出てシャーロックホームズでご飯を食べて、ヨドバシというコースが決まってしまった。帰りの地下鉄がものすごく便利なのもよい。
今月はスキャナと洗濯機を買った。その他ソフト類も買っている。今日も西梅田へ出てご飯を食べてから行ってまずマックの売り場で遊んだ。なぜかマックの売り場はほとんどがカップルで、あれこれと話し合っている。ものすごく広いソフトと本の売り場で長時間過ごして、相方はソフトと本を買ってご満悦。
地下の食料品売り場はわたしの好きなところ。デパートより安く、スーパーより高級という感じかな。ヒヨコ豆の缶詰とケーキを買って帰った。
2004.6.13
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気合いを入れて「鋭」―池波正太郎「剣客商売」15冊目
【剣客として世を渡って来た者は、いつ何どき、どのような異変が待ち受けているやもしれぬ。】と、覚悟して秋山小兵衛は人生を生きている。
66歳になった小兵衛は、朝にはまだ早い時間に夢を見て目が覚めるが、目眩におそわれて躰がいうことをきかない。おはるは医師の小川宗哲を呼びに走る。仰向けになると天井がぐるぐるとまわっているように感じる。宗哲の診断は、小兵衛の躰の仕組みが変わって老人の躰になったための徴候が、人より遅く現れたのだと言う。おはるが煎じ薬を取りに行っているとき、小兵衛は寝ながら妙な物音がするのを感じる。そして物置小屋の前に侍が2人立っているのを追い払うのだが、そのときは目眩は消えていた。
物置にはかつての弟子井関助太郎が子どもを抱いてうずくまっていた。「二十番斬り」の物語の発端である。井関の父親は小兵衛と同じ道場で修行した仲であった。連れている子どもは主家筋の子であるらしい。その子どもを奪っていこうとする者たちをやっつける二十番斬りは、もうこれほどのことはできるまいと述懐するほどのものであった。
「鋭」と、小兵衛も大治郎も三冬も気合いを入れて斬り込む。「えいっ」というかけ声でなく、鋭い「鋭」という漢字の表現がすごい。
この物語の主な筋とは別に、田沼意次の長男が江戸城中で斬りつけられるという事件があり、この事件が小兵衛の心境をがらりと変えてしまった。これだけ武士社会が頽廃しているからには、徳川の世はもうそんなに長くはなかろう。それで、小兵衛は井関が連れていた子どもを、主家筋の九千石の大身旗本に返さず、その子を愛している町人である母方の祖父に渡すのである。
最後の1行がめっちゃ好き。剣客浪人浅井源十郎を打ち倒したのち、「今日は妙に冷える。おはる。夕餉は、油揚げ(あげ)を入れた湯豆腐にしておくれ」。「剣客商売」15冊目、あと1册でおしまいです。(新潮社文庫 438円+税)
2004.6.12
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生節を好きというわけでないが・・・
今年は生節をよく食べる。好きだから食べるというもんじゃないけどね。もう2カ月くらいになるかな、揚げ物を食べるのをやめようと決めた。それまでもそんなに食べていたわけじゃないが、忙しかったりすると、すぐ出来合いのものにしようということになり、イワシの天ぷらを買ってきたりする。野菜はちゃんとつけるのだけれど、主菜がこれではいけないと思った。それにたまに家で揚げるとなると、ついたくさん揚げて、あるだけ食べてしまう。これ以上太ったらあかんのにー。
それでまあ、揚げ物を食べるのをやめたんだけど、選択肢が減ったので、晩のおかずなににしょうと悩む。お魚が主だから、干物や味噌漬けもあるが、ナマで安いものはイワシ、サバ、アジ、スルメイカくらいかな。魚と干物売り場で立ち止まって考えていたとき、この春、ひっそりとあったのが生節だった。
生節って、子どものときよく食卓に出たが、もっさりしていていやだった。他に食べるものがないから食べたけどね。きっと日持ちがして安くて貧乏人にぴったりでいいものだったんだ。
年を取ったせいですかね。その生節をおいしいと感じるようになった。うちの食べ方はいつも同じ、「生節と豆腐と絹さやの炊いたん」である。いまネットで調べたら、タケノコとの炊き合わせ、フキとの炊き合わせもうまそう。質素なおかずだから、昆布と鰹の出汁をちゃんととって、醤油は三年熟成醤油を使っている。
2004.6.11
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今年の朝顔
今朝今年はじめての朝顔が2輪咲いた。とってもきれい。大きめの植木鉢に植えた2本の朝顔がどんどん伸びて、つぼみがいっぱいついていたのが咲き始めたってわけ。
去年は苗を買うのを忘れていて、探しまわった末に手に入れたのは、売れ残って店のすみっこにあった1本だった。それを洗濯物をひっかけて棚から落として折ってしまい、なんとか回復して最初の花が咲いたのが8月の25日なんである。でも、それから秋になってもよく咲いてくれたっけ。
この花はついていたカードによると、濃い青系統と赤系統のはずなんだけど、咲いた花は例によって「色の手帖」でつきあわせて調べたら、「赤紫」と「鴇色」である。日本の伝統色なので感激。
今年も長い暑い大阪の夏がこれからはじまる。寝苦しい夜があけて、目覚めたときに目に入る朝顔の花は元気の素だ。
2004.6.10
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嶽本野ばら「カフェー小品集」
「カフェー小品集」は実在のカフェーに、客である「僕」と、僕が愛する「君」の物語が展開するユニークな短編小説集である。
わたしは自分が行ったことがあり気に入っている、京都の「フランソワ」と小樽の「光」の2編を読んだんだけど、行ったことのないカフェーの物語はまだおいてあった。知らないお店ということで、ちょっと取っ付きが悪かったのね。ようやくその他の物語を読んだのだが、頑固に昔ながらの営業を続けるカフェーを舞台に、恋愛論を恋の物語にして展開しているのがおもしろかった。今風のカフェでなく、頑固に古風なカフェーなのである。だから恋も古風になる。古風ということは古くさくてダサイということではもちろんないのよ。
どこでもぱっと開いたページに気に入った言葉があるのだけれど、いま紹介するのは、鎌倉市にある「ミルクホール」というカフェーのお話。ここは経営者が普通の民家を自分の手で改装したという。漆喰塗りの壁の話をしていて「素人だからこそ出来る嘘のない仕事の贅沢さを大切にしたいんです」という店主の言葉に、「僕」は自分の恋について考える。ぎこちなくていい、不器用でいい、いつまでも恋愛の素人でいいじゃないかって。
そこで恋愛についていろいろと述べているのを、全文引用したいところだけど、文章の最後のところだけ引用します。ここがいちばん気に入ったので。
【・・・でも僕は戦うのです。それが負け戦だと解っていても僕は戦う、素人だから。結果が出せるかどうかが問題ではないのです。素人の戦いは戦うこと自体に意味があるのです。】
これは恋愛だけではないわ。野ばらさんの文章にはすごいものがある。(小学館文庫 476円+税)
2004.6.9
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雑草がうれしそう
街中に住んでいると雑草を見ることが少ない上に、雑草の種類も少ない。最近はハイキングにも行かないから、ひたすら公園の片隅なんかでごそごそしている。それでも先日は四葉のクローバーを見つけたもんね。雑草魂は死なず。
最近整えられた長堀通りの遊歩道は、わたしにとっては雑草の宝庫である。道路ができてすぐのころは、あまり厚かましく生えているのを抜いていたが、最近は抜いた草が植え込みの横に置いてあるので、誰かがやっているのだからと、手を出さないことにした。
今日は雨の中を歩いていたら、めずらしくも蚊帳吊り草とスギナが伸びていた。これは抜かんといてほしいなぁ。来年はツクシが生えてくるかもしれへんよ。ネコジャラシもあちこちに伸びている。露草もあちこちにあるが、これは抜いても抜いても生えてくるようだ。抜いておかれたのが枯れないうちに雨が降ったので、抜かれた茎の節のところがもう土にしっかりと根をはっている。アカマンマもある。
今日、シカゴだよりの筆者の中野さんが、クラフトショーに出したのとおなじものを作って、送ってくださったのだが、その中に小さな一輪挿しがあった。雑草を持って帰ってもいつもコップにさしていたのでちょうどよい。明日は草をいただきに行ってこよう。(当サイト・シカゴページ「中野和子のシカゴだより」29回「クラフトショー」をお読みください。)
2004.6.8
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トマトのサラダいろいろ
トマトの季節になってサラダの種類が増えた。完熟トマトを配達してもらえるのがありがたい。まず単純に、トマトを薄切りしたのにレモンをかけるだけでおいしい。ひと手間かけて、トマトとキュウリとタマネギ、トマトとキャベツのカレー味なんかはよくつくるサラダだ。その他、細かく切ったニンジンとトマトをあわせてレモンをかけるのもおいしい。
トマトとタマネギにマスタードとフレンチドレッシングそしてバジルを合わせたのを、お昼頃つくって冷蔵庫に入れておき、夕方ビールのおかずにする。初夏のしあわせである。
アボカドをつぶしてレモンをかけておき、タマネギのみじん切りとトマトを細かく切ったのを合わせ、レモンをたっぷりのサラダ、お昼ご飯のパンのおかずによく食べる。
ベランダのサラダ菜やパセリなどを収穫(?)したときは、レタス、ルッコラ、セロリ、インゲン豆など緑色のものと混ぜ、ゆで卵、ゆでポテト、トマトを合わせて、ビネグレットソース(ワインビネガー、マスタード、オリーブオイル、塩、こしょうを混ぜる)で和える。サラダニソワーズのつもり。これは大ご馳走である。
もちろん、スープに入れ、カレーに入れ、ラタトゥユに入れ、いろいろと工夫して食べるが、まるのままかじるのがいちばん好きかもね。
2004.6.7
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池波正太郎「剣客商売」14冊目 長編小説「暗殺者」
秋山小兵衛が息子大治郎のところへ遊びに行って孫の小太郎と散歩しているとき、何度か幼い娘を連れたこざっぱりした姿の浪人に出会ったことがあった。その浪人がこの話の主人公、波川周蔵である。最初の章では、小柄な老人と風雅な料理屋で話し合っているのだが、老人は人を殺してくれと頼み、五十両さしあげると言う。周蔵はいまのところは引き受ける気がしないと断る。周蔵は第一級のプロの殺し屋なのである。
ある日秋山小兵衛は周蔵が浪人に襲われるところを目撃する。ものすごい強さを見せつけた周蔵に感心するが、それは周蔵の強さを試すための襲撃であった。そして試したほうは元の主君であり、周蔵の母親を自分の女として置いている。そこまでして周蔵を試したのは秋山大治郎を殺すためであった。
知り合いの料亭の主人から、浪人者の会話に大治郎の名前が出たと告げられ、小兵衛の気持ちはゆらぐ。調べていくうちに、田沼意次の行動にからんで大治郎が襲撃される可能性があり、襲撃するだろう相手は周蔵に違いないということになる。周蔵と大治郎が戦えばどうなるのか、周蔵のほうが強いかもしれぬ。小兵衛は悩む。
小兵衛と周蔵はともに、病いに伏す稲垣忠兵衛の見舞いに行っている。二人は同席したことがないが、忠兵衛が二人にお互いの話をしているという間柄なのである。
周蔵は妻と子を安全なところに避難させるために、最初の章の殺しを引き受ける。鮮やかに仕事を終えて、老人と語り合う姿はすがすがしいほどだ。
田沼意次が内密に外出するために乗っている駕篭を襲撃する日が来た。大治郎は駕篭につきそって歩いている。周蔵と浪人どもが斬りかかるが、周蔵が相手にしたのは依頼した側の浪人どもだった。駕篭から出てきたのは小兵衛であり、大治郎が羽織を脱いだときはたすきがけの姿であった。
ここで田沼意次に対する陰謀をひとつ潰すことができたわけだが、田沼失脚は目前である。小兵衛の老いとともに物語は陰影を帯びる。
波川周蔵はこのシリーズで秋山親子を除いたら、いちばん魅力ある登場人物かもしれない。いろんな魅力ある男女が出てくるけど、これほど強くて清潔な人はいない。武士として不運な運命にもて遊ばれて、なおまっすぐに生きようとする。最後に狂った母を引き取って、あとは静かに暮らすことになる。幸せを祈らずにはいられない。(新潮文庫 438円+税)
2004.6.6
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ベランダの昼食
昨日は一人ずつベランダ生活(?)を楽しんだが、今日はもう一工夫した。掲示板でKAZUMIさんが朝のコーヒーをベランダで楽しんでいると書かれているのを読んで、「なるほど、わたしもやろ」とコーヒーと新聞を持って午前中を過ごした。
そのあと、植木の世話をしたり(これはわたしではない)、なんだかんだしているうちに、いっそ“二人でお茶を”するのもいいなということになった。ベランダをもうひと片付けして、部屋の隅で物置台になっていたスチールの丸椅子と、ふだんはベッドサイドテーブルになっている踏み台を出してきた。踏み台だから2段になっているのが難だが、真ん中に置いたらなんとか食卓としてさまになった。植木たちに日が当たって、みんな生き生きしている。いい気持ち。
「いやー、こんなに楽しいとはねー」「これならどこへも行かんでもええなー」と言い合っておりました。
お昼の献立:ミルク、くるみパン、ポテトサラダ+キュウリ、桃の缶詰、紅茶、チョコレート。
晩ご飯の献立:ビール、生鮭のボイル(鮭をボイルするときは塩とハーブや野菜くずなどを入れて風味をつける、ソースはマヨネーズと酢にチャイブを刻んで混ぜる)、ポテトサラダ+レタス+トマト、ごはん、冷や奴(辛子)、きんぴらごぼう、納豆、焙じ番茶。
2004.6.5
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たそがれどきの幸せ
とにかく狭いベランダなので、洗濯機のタテ・ヨコが各5センチほど小さくなったのがありがたい。植木鉢の棚と洗濯機の間に椅子が置けるようになった。無理して買ったイタリア製のでっかい椅子で、わたしと猫がいっしょに座るために部屋においていたが、猫は死んでしまったし、パソコンその他のものが増えて置き場所に困っていた。傷んだ布部分を取ったら、しっかりとした金網の椅子の原型がかっこよい。いくら捨てるのが好きなわたしでもこれは捨てられない。
植木鉢棚の片隅をサイドテーブルにみなして、洗濯機は見ないようにして座ると、片側は緑がいっぱいだし、ハーブの香りが漂っているような気がするし、なかなかよい。夕暮れどき、植木が風にそよぐのを見ながら、梅酒に氷を入れたのと本を持って座ると天国である。本は読まずにぼーっといつまでも座っていた。
今年の夏はいつまでもここに座っいるのだろうな。うちわを持って蚊取り線香をつけて。そうそう、風鈴も出してこなくっちゃ。
2004.6.4
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鶴瓶さんにご縁がなくて
5月23日の田辺寄席に笑福亭鶴瓶さんが出演された。わたしが田辺寄席に行くようになって3年目だが、鶴瓶さんが出演されたのも年に一度の割合で3回目なのである。その3回とも行けなかったのだから、縁がないと思うしかない。
わたしは別に鶴瓶さんのファンではないけれども、テレビなどであれだけ人気のある人が、古典落語を演じられるのを聴いてみたいと思う。それに人気者のオーラというものがどんなのか知りたい。田辺寄席だと舞台と客席が近いから、自分の目で見るのにこれほど良い場所は無い。
田辺寄席に出演されるとき、「今月の演目」に鶴瓶さんの名前はない。人気者が出演となるとたいへんなことになるので、黙って突然出演ということになる。そして真剣な落語ファンが集まる会で噺をしたいということで、出るなら田辺寄席しかないとなるんだろう。
去年は桂文太さんが「開口0番」で「今日は鶴瓶さんが出演されますよ」と告知したそうだが、今年はそれもなしの出演としたらしい。「めくり」だけは用意していたそうだ。鶴瓶さんが突然現れたのだから、客席はどよめくよね。そして噺がとてもよかったそうである。
うちは田辺寄席のホームページをつくっているので、寄席が終わるとすぐに写真がとどく。誰よりもさきに見せてもらった鶴瓶さんはとても豪華な着物を着ていて、どんなシーンを演じているのか真面目な表情である。来年はなんとかその日に当たるように行きたいものだ。毎月皆勤してたらいつか出会えるはずだが、皆勤するのはむずかしいわ。
去年の田辺寄席の鶴瓶さんの写真は「田辺寄席」(http://www.sgy2.com/site/tanabeyose/)の「寄席の写真」(2003年4月)にあります。
2004.6.3
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大阪のカラス
最近目立って近所にカラスが増えたように思う。3カ月程前のことだが、朝起きたらカラスの異常な鳴き声がする。窓を開けたら、車にはねられたらしい白い猫の死体の内蔵を、2羽のカラスがついばんでいるのだった。見ていられなくて窓を閉めたが、朝食後に見たらもう片付けてあったのでほっとした。でもまだそのときの様子が目の前にちらついている。あの猫は近くに住む野良猫であったような。
今日はお昼にプールに行った帰り、ちょっと寄り道してパン屋へ寄ったのだが、その近くの公園でたいへんなものを見てしまった。
長堀通りを曲がったらカラスの鳴き声が響き合っている。公園の中には誰もいない。カラスが占拠しているのだ。大きなヒマラヤ杉の上に数羽、その他の木の上にもいる。電柱や電線の上にもいる。それよりも地面に何羽いただろう。公園いっぱいに散らばって叫ぶように鳴いている。20羽、いや30羽、きっとネコか犬の死体でもみつけたのだろう。白いものをくちばしにはさんで飛び上がるのや、食べ終わったのか満足の雄叫びをあげているの、さまざまである。近所の商店の人がひとり立ちすくんで、怖いなぁとつぶやいていた。
気持ち悪くてさっさとパン屋に入ってしまったが、帰りも同じくであった。満腹したのか長堀通りの街灯の上に数羽がのんきそうに止まっている。西区役所の前の街灯の上にもいた。
カラスって近くで見るとすごく大きい。羽根を広げたところを見たらぶったおれそうになった。
2004.6.2
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今日は初夏らしい日だった
昨日のものすごい雨がうそみたいな今日の天気である。四ツ橋まで用事で行ったので、もしかしたら嶽本野ばらの「それいぬ」があるかもしれないと思って、アメリカ村の本屋「ビレッジヴァンガード」へ寄ってみた。さすがだ、乙女もののコーナーに初版の文庫本が平積みしてあった。友人のために1冊、また誰かに読ませたくなるかもしれないのでもう1冊買った。
そのあと東急ハンズに行って、前から欲しかった「やかん」を買った。柳宗理デザインといってもクラシックなつや消しのステンレスのやかんで6300円。ちゃんと大切に使って長持ちさせよう。その他台所用品をこまごまと買った。
気持ちよい風が吹いているので、窓を開け放して晩ご飯にした。たそがれどきの薄明かりのずっと向こうに梅田スカイビルが見える。近所のマンションのベランダの植木が、ちょうど目にはいるところに伸びている。
今晩の献立:日本酒(秋鹿摂州能勢)、ツバスのお刺身、トマトとバジルのサラダ(タマネギのみじん切りとディジョンマスタード、オリーブオイル、酢)、ご飯、ツバスのあらのすまし汁、きんぴらごぼう、煮昆布(出汁をとったあとの昆布をためておき、酒、醤油、酢で炊いたもの)、焙じ番茶。
2004.6.1
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