2000年12月
梅村こども診療所発行の「こども診療所だより」復刊第5号が発行されました。この号も子育てに役立つ情報がいっぱいです。“幼児期の保育集団についてのアンケートから”は、はじめての集団生活を選ぶ人たちへの情報や先輩からのコメントがたくさんあります。聴覚障害のこどもを持つ母の思いや補聴器に関する情報、おしゃべり会の報告、お便りなども子育ての役に立つと思います。
山田真さんの病気についての連載は“抗ウイルス剤を安易に使ってよいのか”で、安易に使われている
抗ウイルス剤についての疑問が書かれています。また予防注射についての話もあります。
読みたいかたは私までメールをください。
なお、「こども診療所だより」のバックナンバーは梅村こども診療所のホームページに収録されています。URLは http://www.ne.jp/asahi/sgy/web/kodomo/
ニューヨーク・メッツに行くことを発表してからの新庄くん、楽しそうです。ついスポーツ新聞を買って動静を知ろうという気になっちゃいますよ。小さい記事でも見落とさないよう気をつけてます。阪神タイガースファンとしては出ていってほしくなかったけど、新しい世界へ羽ばたくと思えば辛抱しなくっちゃ、ね。
今日の「日刊スポーツ」には、以前阪神タイガースで一緒にプレーしたマーク・ジョンソン選手が、メッツで同僚になることになり「日本にいたとき世話になったから、ニューヨークではこっちが世話する番だ」と言ってるという記事がありました。生活情報もアドバイスするとのことです。よかった、よかった。
昨日は西宮市役所に婚姻届を出しに行った記事が載ってました。8年間続いた志保さんだからきっとこれからも仲良くいくでしょう。戸籍の受付のカウンター前にいる2人の初々しさが微笑ましい。
かんじんの野球のことではいろいろと危惧されているわけですが、頑張ってほしいです。この間テレビで「ウェイトトレーニングしたらGパンがはけなくなる、と言ってしていなかったが、これからはウェイトトレーニングにも励むそうですよ」とスポーツ記者が言ってました。ほんまかいな。
ま、年末いろいろと話題をまいてくれた愉快な新庄くんですが、来年はニューヨーク・メッツの優秀な外野手として頑張ってほしいです。
「ポランの宅配」にも年末注文というのがあって、お正月用のおせちセットとかハム、かまぼこ、おせち用野菜、お餅、年越しそば、などをとどけてくれる。うちは通常の宅配には長年お世話になっているけど、特別に年末用の注文はしたことはない。でもカタログを眺めるのが好きなのでいつも目を通している。このカタログで数年前に発見したのが「やつがしら」です。お正月にしか出荷しないものらしい。なにかおめでたい言い伝えでもあるんだろうね。これだけ注文するのもなあ、と思っていたら通常の最後のカタログにも入っていた。それから毎年「やつがしら」だけは買っている。
今年も昨日やってきた。包んである新聞紙をはぐとでっかい「やつがしら」が現れた。形がユーモラス、バレーボールほどもないけどでっかい円形で周りに小芋がごつごつとくっついている。手にあまるのを苦労しながら小芋をはずして皮を剥く。適当に切ってダシで炊くだけだけど、普通の里芋よりずっとおいしい。
さて、これを大晦日に炊くとわが家はお正月。例年正月だからといってなにもしない。ホームページやらなにやら仕事もどっさりあるしねえ。あとは適当に冷凍庫とコンビニに頼って過ごすことになる。
もう10年くらい女性探偵というとヴィクとキンジーが並べて紹介されてきた。格が違うとわたしは思うんだけどね。並べられると比較する以上にキンジーの悪口が出てしまうことになる。そのせいかなんか知らんけど、わたしは考え方はヴィクでも着るものはキンジーやんかとよく笑われていた。最近のキンジーは読んでいないのでわからないけど、最初の数冊では夏はTシャツとパンツ、冬はセーターとパンツでスニーカー、冠婚葬祭用のドレスを1着持っているだけだったよね。そこがわたしといっしょなんだそうだ。おしゃれなヴィクとは全然違う。それでもキンジーが好きになれなかったのは、事件と解決が安易な気がしたし、朝起きて顔洗って…みたいなところまで書いてあるのがアホらしいせい。以前の例会でよくキンジーの悪口を言ってたので、そのころ入会された会員が「しょうもないと聞いているので読む気が起こらなかったから1冊も読んでない」と最近おっしゃったときは申し訳なかったっす(笑)。
でも最近キンジーがなつかしくなってきた。育ての親のおばさんから受けついだ独立精神はすごいものがある。というのは最近の女性探偵ものを読んでいると、家族と仲がいい人が多いような気がしてね。特に祖母が健在である。いかに愉快でしっかりしている祖母であってもわたしはいや。祖母や家族を書くことに笑いやほのぼのとしたものを感じさせる狙いがあるのがいやなのである。
そこへいくとヴィクとキンジーはよいな。家族がいなくて、助け合うのは自分自身で選んだ友人たちだ。キンジーまた読んでみようかな。アルファベットのどこまで行ってるんやろ。
待ちに待ったサラ・パレツキーの新作「ハード・タイム」を訳者の山本やよいさんが送ってくださった。さっそく読み出したが、題名だけでなく内容もハードでなかなか読み進めない。いままでのどの作品もすべてハードだったけれど、今回ほどではなかった。ようやく読み終えてほーっと息をついたところである。きちんとした感想は来年春出す予定の会報「VI」に書くつもりなので、今日は1回だけ読んでの新刊紹介です。
この作品ではサラ・パレツキーが書いている立場が今まで以上に鮮明になっていると思う。ヴィクが労働者階級出身ということ、そしてその側の人間として行動していくことが強く書かれている。その上で貧しい人たちや見捨てられた人たちとの共感がある。だから棄てられていた瀕死のフィリッピン系の女性について、どんな妨害があろうとも調べずにはいられない。
以前の事務所があったプルトニービルは取り壊され、ヴィクは新しい事務所を彫刻家のテッサと共同で借りている。ミスタ・コントレーラスが健在で2匹の犬とともに大活躍する。ロティもしっかりと脇をかためている。マリ・ライアスンはテレビのレポーターに転身してしまった。前作「バースデイ・ブルー」で警察を辞め、引き取った3人の子どもの面倒を見ながらヴィクの事務所でパートタイムで働くメアリ・ルイーズ・ニーリイも出てくる。今回はちょっとがっかりだが、それだけヴィクの仕事ぶりがハードなのだ。
新しい登場人物モレルとルー神父は勇気ある魅力的な人たちでヴィクを助ける。eメールの宛先だけではあっても「サマータイム・ブルース」に出てきたエイジャックス保険会社のラルフ・デブローの名前が出たきたときはなつかしかった。そのeメールを読んで社長としてコメントしている。あのときは予算担当責任者だったが社長になりはったんや。ヴィクはコンピューターを使いこなしていて、そのeメールは悪いやつのところへ忍び込んで、そいつの名前で発信したもの。
これからまた何度も読み返すつもりです。
クリスマスイブという意識はなかったんだけど、土曜日曜と外に出ずもっぱら読書とビデオだったので、ちょっと散歩ということになった。時間をかけて作ったカレーをフランスパンで食べたらおいしいだろうと、カナダ村のレストランがパンを売っているので散歩がてら行くことにした。
ちょっと行ってない間にえらい変わりよう、アメリカ村の北のはずれにリキテンシュタインの壁画があるビルがある。そこを長堀通りを越えてまっすぐの道の両側に服屋、雑貨屋、カフェ、レストラン、美容院がぎっしりと並んでいる。アメリカ村のような無秩序なお店はひとつもなくみんなおしゃれで高級そう。フランスパンは売っていたけれど、レストランはクリスマスディナーの予約でいっぱいだそうだ。なるほどなあ。
ここまで来たからとアメリカ村に足をのばした。さすがクリスマスイブだ。えらい人混みの中を新しいビルとお店におどろきながらビッグステップまで行った。クリスマス大イベントがこれから始まるそうで広い吹き抜けの階段にぎっしり若者が座っている。エスカレーターで2階に行っていつも入る雑貨店ウイークエンドでケイタイのヒモを買った。ピンクのヒモに小さい女の子のカワイイ顔がついている。超カワイイのをつけるのは老人の特権じゃとかなんとか言いながら買った。
お店を出るといよいよイベントがはじまった。吹き抜けの上の大天井がゆっくりと開いて真っ暗な空が見える。場内が暗くなってライトがきらめき鈴が鳴りはじめた。それから5階の回廊に取り付けられた噴霧器のようなものから噴射された雪が舞いはじめた。首筋に落ちてきた雪はかき氷のようなもので冷たかった。足が疲れたし冷えてきたのでこれで満足して退散することにした。帰り道にあるチャルカで温かいコーヒーとバナナケーキで暖まった。
フランスパンとカレーの夕食はおいしかった。その後で友人にお裾分けしてもらったドイツのクリスマス菓子を食べた。
図書館のビデオの棚ではじめて見た1959年制作のソ連映画。「スターリン批判の後にソ連の映画が人間を描くことを許された。みずみずしい表現の時代を代表する作品」とビデオの箱に書いてある。昔見たような気もするけどぜんぜん覚えていないので借りてきた。借りてはみたもののうっとうしい映画だったらどないしょう、と思ってなかなか見なかったが返済期日が迫ってきた。それで見たんだけど、いやまあ、素晴らしい映画でした。
19歳の兵士アリョーシャは前線で戦車に攻撃されて必死で逃げるが、最後というときに撃った銃弾が2台の敵戦車をやっつける。その報償に故郷の母の家の屋根修理に帰らせてほしいと頼み、往復4日、故郷で2日の休暇を与えられる。勇んで出発するアリョーシャだが、帰途ではさまざまな困難に出会い、幼い恋も生まれたり、ロードムービーの原点といえるような作品になっている。蒸気機関車が広いロシアを突っ切って走る。いつまでも続く原野や白樺の林。貨物列車で若い女性といっしょになって、彼女のために水を汲みにいって列車に乗り遅れる。追いかけようとトラックに乗せてもらったらポンコツ車で、泥沼の中を押していくはめになったりする。少女は列車を降りて待っていた。途中にある町に、戦友に頼まれた石鹸をその妻に届けに行くと妻は浮気している、石鹸を取り戻し、空襲で家をなくして避難所にいる父親に届けに行く。次ぎに乗った列車が事故に遭い時間がどんどん経って行く。そんなことで家に着いたものの母の顔を見ただけでもう戻る時間である。母や近所の女性の言葉で、戦争に男たちが駆り出され、農業を女性だけでやっている苦悩が語られる。
映画のはじめに戦死した兵士の物語であるとナレーションが入っていたから、貨物列車で知り合った女性との幼い恋の終わりもわかっていて切ない。思いがけなくみずみずしい映像の映画にあたってうれしかった。
長い間使ってきたコピー&ファックス機を取り替えることにした。5年リースを終えてリース延長1年合計6年間使ってきた。6年前はコピーもファックスも仕事でA3が必要だった。最近はデータが行き来して無理にA3まで要らなくなったし、仕事でのコピー&ファックスの必要性はめちゃくちゃ減った。それで買うならA4だけとれる安いコピー機にして、毎月の「VFCニュース」年2回の会報「VI」などはコピー屋さんに行こうかと考えていた。
そんなこんなを考えてあと1年の再延長にして様子をみようと思っていたところへ、コピー機の営業ウーマンから提案があった。うちの使い方を考えてA4を主体にした機械を格安にしてくれるとのこと。なんせ毎月1000枚とるというのはSOHOではありませんという。狭い部屋に大きい機械を置きたくないという希望を入れて、いま使っている黒いボックス家具にのせて使えるという。B4とA3は手差しになるが、今までより部屋が広く使える。年2回の「VI」はA3でとるのでコピー屋さんに行くことにした。また5年のリースを抱えるわけだけど、話があったのを幸いに契約してしまった。
そこで、また考えたんだけど新しい機械というものは人をやる気に奮い立たせる。今日運び込まれたぴかぴかのコピー機とパソコンとMOとハードデスク、プリンタ2台、スキャナ、電話がVの字に並んだコーナーに座ると「やるぞ」って気になる。「なにを」と言われたら口ごもるけど、ま、がんばります。
シンプルな生活や貧乏の話と続いてきたら「贅沢貧乏」の出番だとどなたも思われることでしょう。そうです、こういうことを考えるだけで、書くほうも読むほうも森茉莉の存在を意識せざるを得ないのですから森茉莉は偉大です。わたしは1963年の初版で読んで、まだその本を持っています。最近はそういう自分がうざったくなって捨てようと思ったのですが、いま出してきて読むとやっぱりいい本なので、また本棚に戻しました。同じころに出た小説集「恋人たちの森」とともに、まだ手放せないです。
この本はいまでもある種の女性たちの憧れの的になっていると思います。その彼女らは貧乏でないので森茉莉の世界に憧れるだけです。そして貧乏人は「贅沢」には憧れても「贅沢貧乏」に憧れることはできません。しかしよく考えてみると、憧れる女性たちは、森鴎外の娘であり室生犀星とつきあい、下北澤に住んで風月堂に毎日行く森茉莉だから憧れているのだと気がつきました。そして森茉莉がアパートの部屋で幻想していることに憧れているわけです。憧れとは自分にできないことにたいして持つものだとよくわかります。
「贅沢貧乏を実践しているすてきな人」とその女性たちの一人に言われたわたしは、その人は善意で言ってくれたようでしたが、喜んでいいのやら怒っていいのやらです。自分で思っているぶんにはいい気持ちですが、人に言われるとねえ(笑)。貧乏の話はこれで一区切りつけますね。「ハード・タイム」が待っている。
嶽本野ばらの「世界の終わりという雑貨店」は、雑誌などにお店の情報なんかを書いていた青年が、ひょんなことから「世界の終わり」という店名の雑貨店を壊れそうなビルで経営することになったところからはじまる。彼の独白のかたちになっているのだが、ファッション、音楽、恋、生活の仕方などについて、主人公の口を借りて嶽本野ばらの考え方が述べられている。その中で詳しく書かれているのが“貧乏”と“貧乏くさい”の違いである。貧乏ではあるが、“貧乏くさい”ことはしない主人公の考えにうなづける。わたしも自分の“貧乏”を認めているけれども、“貧乏くさい”ことはしまいと思っているというより、主観的に「わたしは“貧乏くさい”はずがない」と確信しているからだ。客観的には「貧乏だし貧乏くさい」と思われているかもしれないけれどね。
この本の青年のように金子国義の絵の額の話なら、絵を持っていること自体が貧乏ではないじゃないかって言いたいけど、わたしの場合はそういうものを持っていないからほんとの貧乏と誇ってもいいんじゃないかな。ま、威張ることでもないけど。
いわゆる大人が着る服は1枚も持っていないけど、カジュアルならL・L・ビーンやエディ・バウアー、アシックスのきちんとしたものを着るとか、化粧品はヘチマコロンのほか一切持っていないが、虫除けにはラベンダーの匂い袋を使っているとか、わたしの場合はこんなことが貧乏くさくないことなのである。
お借りした本の1冊は嶽本野ばらのはじめての小説だった。嶽本野ばらの名前はずいぶん昔から知っていた。数年前に廃刊になった関西の有名なフリーペーパー「花形文化新聞」に連載されていた「それいぬ」というエッセイを愛読していたからだ。「花形文化新聞」はアメリカ村などのお店でタダでもらえるので、気をつけて毎月もらうのを忘れないようにしていた。「それいゆ」という30〜40年も前の中原淳一の出していた雑誌をもじったタイトルが気になって読み出したのだが、その通り毎度毎度乙女心について書かれており、わたし自身のことを書かれたようなときもあって、おもしろかった。何度か切り抜いた覚えがある、どこかにしまってあるはずだから探すことにしよう。
一度深夜テレビに彼が出ているのを見たことがある。小公子セドリックのような黒ビロードの上着、中にはレースの大きい襟がついた真っ白なシャツを着ていた。司会者からは“変な男やなあ”みたいなことを言われていたが、どういう番組だったんだろう。照れずに堂々とセドリックしているところがよかった。
さて、この本には2つの作品がある。どちらも女心に肉薄しているけれども、男性の書いた小説だなあと思う。「ミシン」のほうではチビ、デブ、ブス、の少女、「世界の終わりという雑貨店」では顔に痣のある少女が主人公だ。女性がこのような小説を書くとしたら書く本人がチビ、デブ、ブス、の少女であっても痣があっても、主人公は美少女のはずだ。そしてもし主人公が私がチビ、デブ、ブス、と言っても、容姿とお金となんでも揃った相手に愛されるのだから単にチビ、デブ、ブス、ではないのである。だからこの小説はリアルである。やおい小説より文学だ。現代の女性のありさまをファッション(Vivienne
WestwoodとMILK)や音楽(シド・ヴィシャス)の好みで現している、そのしつこい書きかたがいややねんけど、ええねん。
ずっと勝手に“野ばらちゃん”と呼ばせてもらっているのだが、「やったね、野ばらちゃん」である。(小学館 1000円+税)
川上弘美の本を買ったのははじめてで、読むのもはじめてである。なぜ買ったかというと彼女が書いたジュンパ・ラヒリの「停電の夜に」の書評が気に入って、「停電の夜に」を買って読んだらやっぱり気に入ったからだ。
その次ぎにまた気に入ったことがあった。朝日新聞(12月10日)に書いていたんだけど、野坂昭如コレクションの紹介で、高校生のころ野坂昭如の膝に載って髪を撫でてもらう夢を見たと書いている。この話は佐野洋子が野坂とデートした夢を見たというエッセイを読んだという前書きがあってのことで、川上弘美は佐野洋子に「勝った。こっちは膝だし」と思ったそうである。痛快。
「おめでとう」は12の恋物語を集めている最新短編集である。楽しくもあるけれど背筋が寒くなるような、繊細だけれども押しの強い登場人物たちの姿をうまく書いている。小説家の才能というものをたくさん持っている人だと思った。タイトルのつけかたが巧くて「いまだ覚めず」「どうにもこうにも」「春の虫」と順番に並べてみても美しい。この人は少女にして女だわ。ファンになったぞ。装画と装幀も美しくて気に入った。(新潮社 1300円+税)
12月に入ったらなんとなく気忙しくてしょうがない。お歳暮をもらうこともなくすることもなく、掃除を特にするわけでもないのに。しかし、よく考えれば12月に限らず、いつでも気忙しいのであった。納得すると気分が落ち着いた、年賀状のことでも考えるか…。
土曜日は今月に限りVFCの例会を第3土曜日に変更したので夕方シャーロックホームズへ行った。お店はダーツの人たちの忘年会で、わたしたちも割り込ませてもらい会費を払ってコースの料理をいただいた。枝豆、明太子を挟んだフランスパン、ポトフー、スペアリブ、アスパラガスの肉巻、生ハム、チキン、スパゲッティなどでお腹が一杯。用事やデートの人などで集まりが悪かったが、先々月声をかけてきたシャーロックホームズファンの男性がダーツのかたわら話に来た。わたしのことを“謎の女”だと(笑)。
にぎわうお店を早めに退散して、家でテレビ映画を途中から見た。先週に続きジョン・ウー監督、ジョン・トラボルタ、クリスチャン・スレーター主演「ブロークン・アロー」。まだ香港映画のやり方が残っているようなところがあっておもしろかった。女性がめっちゃ強いところもよかった。トラボルタの悪役は愛嬌があって、ほんとに娯楽アクション大作。クリスチャン・スレーターはなぜか思い切り嫌いだったが、「マンハッタン花物語」から好きになって、この映画でもよかった。
土日ともに朝寝をたっぷり。日曜日は午後難波のジュンク堂へ行き、相棒はインターネットの本を、わたしは川上弘美の「おめでとう」と斉藤環の「社会的ひきこもり」を買った。斉藤環氏の本は以前この店の立ち読み用の椅子で読んでしまったのだが、ちゃんと読み直したくて買った。
天気予報にはなかった雨が1日中降って薄ら寒い日であった。夜は買ってきた本と、先日どばーっと送って来たS嬢が貸してくれた本を広げてなにから読もうかと至福の時間。どの本も途中まで読むという贅沢なバカなことをしている。
ちょっと前に久しぶりに会った知りあいと道ばたでおしゃべりして、こんどはお茶しようと約束していたのが、ようやく空いている時間が合い、うちで豆大福を食べながらのおしゃべりになった。自営業者としてのここ2・3年の近況を話しあっていると、お互いよく生き延びてきたなあって2人で笑いながらしみじみしてしまった。
彼女はいままでの仕事をしながらアロマテラピーの学校に通い、石鹸作りの方法を勉強したそうで、おみやげに手作り石鹸をくれた。使ってみると合成保存料や香料が入ってないので肌が気持ちよい。これを商品化したいというのが彼女の夢で、いまは知りあいに使ってもらい、クリスマスプレゼント用に好評だそうだ。小さなパッケージの中は楕円形の「はちみつ&プロポリス」「竹炭せっけん」「ピンククレイ&ミルク」「はちみつ&抹茶」「インディアンクレイ」の5個が入っている。クリスマス用ということで、ちっちゃな贈り物入り靴下がおまけについて1000円。わたしも買って友人に贈ることにした。
ほんとに可愛いのでもらった人は喜ぶこと請け合い。使ってみたいかた、贈り物にしたいかたはメールをください。わたしから連絡します。
VFC会員であり、静岡県在住の主婦である大藏まきこさんが、1997年秋から季刊で休まずに発行してきた「パンドラの箱」の最終号が発行されました。ほとんど手書きでB5で20ページ近いものをずっと一人で編集し印刷し配布してきたものです。大藏さんがこの「パンドラの箱」で取り上げた後くらいから、広くDVが論議されるようになりだしたと思います。私も女性問題についてたくさん勉強させてもらいました。
この号は「パラレル・シンデレラ」という大藏さんによるシンデレラが幸福な結婚をしてからの物語があります。大藏さんのフェミニズム理論を童話のその後の物語に展開しているところがおもしろいです。イラストも自分で描かれており、巧くはないが微笑ましい。また特集は“DVを減らそう”というテーマで、今までに知らせてきたDVに関する情報をまとめているので便利です。本、ビデオ、相談機関、支援センターなどに関する情報が載っています。
この号で終わってしまうのが残念ですが、DVの問題で実践活動もされている人ですから、また新しい展開を考えていらっしゃるのではないでしょうか。
「パンドラの箱」を読みたいかたは私までメールをください。お送りします。
お雑煮の季節がやってきた。わたしお雑煮ってわりと好きです。寒い夜に食べるとからだ全体が温まる。いちばんよく作るのが中国風雑煮だけど、お餅が韓国のお餅「トック」なので韓国風と言ったほうがいいかもしれない。ずっと以前に暮らしの手帖社のお総菜の本に出ていたんだけど、お餅をトックにしたのはわたしのオリジナルです。
(1)鍋に油をひいて生姜と青ネギの刻んだのを炒める。(2)その上に豚肉の細切れと干しエビ少々を炒める。(3)醤油とみりんで味付けし、(4)その上に竹の子の水煮と白菜たっぷりを細く切って炒める。(5)お水を入れて煮込むとおいしいスープができあがる。(6)スープにトックを入れて少し煮る。(7)上等のごま油を香り付けに少々たらして、(8)最後にニラをたくさん細かく切って散らす。
これででき上がり、簡単だしおいしいです。普通のお餅でもいいけど、手に入ればトックを入れてみてください。以前は鶴橋の韓国市場まで買いに行ってたけど、最近は近所のスーパーマーケットで売っているので便利だ。木の葉のような形をしたトックは汁に溶けないので、そのかたちのまま食べられるのがよい。うちでは丼に2杯ずつ食べる。
今日は寒かった。テレビのニュースでは各地の雪景色を見せていた。本物の冬がきたんだ。
先週つき合いが多すぎたせいか疲れ気味、つき合いの合間に今月は例会日を変更したため5日早く「VFCニュース」12月号を作ったので疲れが重なってしまった。風邪を引いたらたいへん。厚いコートを着て東洋療養センターへ行ってハリ治療をしてもらった。治療してもらいつつ、共通の知りあいの噂なんかしていた、今日の夕方はクシャミしていた人がいたんじゃないかな。
鼻が通って頭がすっきりし元気になって帰ってきた。夜、一念発起(と言うほどでもないが)して掛け布団、毛布のカバーを替えた。シーツと枕カバーは毎週取り替えるけど、こちらはついおろそかになっている。ついでに布団乾燥機もかけた。家事ついでにボクシングを見ながらアイロンかけもした。応援していた徳山選手が勝ってうれしい。
晩ご飯はお雑煮を作った。お正月だからといってお雑煮やお煮しめを食べないかわりに、普通の日でも食べたいときにお雑煮を食べる。お煮しめは弁当のおかずに作り置きできるから、いつでも温めて使えるように冷蔵庫に入れてある。外は寒い、家の中で温かい晩ご飯を食べられて幸せなことである。
シンプルな生活と書けばかっこいけど、実は貧乏暮らしと言ったほうがいいかもしれないな。ちょっとミエを張ってこういうタイトルにした。
先日遠方の友人(彼女もけっこう電気製品には抵抗を感じているらしい)からの電話で、はじめて電子レンジを買って使っているという話があった。えらく便利らしい。当然うちが使っているという前提で話をするので、うちにはそんなものはないと言うと相手はびっくり。ばりばりパソコンを使っているから、台所は電化製品でいっぱいだろうと思っていたとのこと。「一度うちの台所を見せたいわ、狭い、汚い、モノがない、でおどろくよ」と答えておいたが、ほんと電子レンジなし、炊飯器なし、米びつは一斗缶で流しの下にあり何十年も使っている。2つのガス口と魚焼きグリルのついたレンジだけでなんでも作る。秘密は4個のビタクラフトの鍋で、これがあるとご飯を炊けるし、パンもお餅も焼ける。あらゆる料理ができる。あとはステンレスの普通の鍋が3つとミルク沸かしと土鍋が2個あるだけ。どこの家庭にもあるジャーとかもない。お茶を飲みたければいちいち沸かして飲む。
宅配で土付きの野菜がくるので床には土がこびりついている。そのうえ狭いので流しから振り返ると冷蔵庫と食器棚があって、すぐなんでもとれるので便利と言えば便利である。食器棚にはこれに入る以上の食器を持たないことにしている。冷蔵庫も小さいので入れ忘れて捨てるということがない。
住まい全体が、友人の子どもが押入を開けて「向こうに部屋があると思ったのにこれだけなんかー」と言ったことがある狭さである。人間が必要とする広さを「起きて半畳、寝て一畳」と言ったのは誰だったかな。大いなる親近感を感じる。
バイオレンス映画やアクション映画を毛嫌いする女性がたまにいて、彼女らは小劇場で上映される名作ファンだから、「すぎやさんてヘンな映画が好きやなあ」とか「わからんなあ」と言われたりするが、わたしはバイオレンス、アクション映画が大好きである。字が読めるようになったころから探偵小説を読み、ギャング映画と西部劇の話を聞いて育ったせいでかな。ただしホラーはダメです。
最近は映画館へ行くことが少なくなってご無沙汰しているが、昨夜はテレビでジョン・ウー監督「フェイス/オフ」を見ておもしろかった。映画館で見ていればもっと楽しめたろうと残念、というのが最近多くてほんまに残念だ。
息子と遊園地で遊ぶFBI捜査官(ジョン・トラボルタ)を狙って撃った銃弾が息子の命を奪うところからはじまる。その後、飛行機に乗った凶悪犯(ニコラス・ケイジ)を執念で追いかけて、捜査官が犯人を植物状態にする。ところが犯人はロサンゼルス市に細菌爆弾を仕掛けていたのが持っていたコンピュータのデータでわかる。その真相を追うべく顔面皮膚移植をして犯人に変身して刑務所に入る捜査官と、目を醒まして医者を脅迫し捜査官の顔になった犯人との闘いがおもしろい。脱獄した捜査官とFBIで働く犯人との迫力あるアクションシーンの連続で、ハラハラドキドキを繰り返して最後はもちろんハッピーエンドで終わる。
犯人が捜査官になりすましてその家に行き、なにも知らぬ妻と暮らすところがおもしろい。夜中にベッドにいない妻を捜しに妻が勤務する病院へ行く。彼女は緊急に呼び出されたと仕事をしている。実はほんとの夫が現れて入れ替わった話をしたので、寝ている犯人から血を採って血液型を調べにいったんだけどね。そのとき夫になりすました犯人の独白「嘘、不安、過剰な疑い、これじゃまるで本物の夫婦だ」。おかしくて書き留めてしまった。
近頃年末のせいか人に会うことが多い。昨日は突然仕事で近所に来たからと週末ボランティアのYさんが寄ってくれた。1年以上神戸での活動は休止中なのに覚えていてくださってありがたいことである。聞き上手な彼に相手してもらったらしゃべりまくってしまった。
今日はVFC会員のS嬢がお昼から休みをとったので、最近とてもおしゃれになった堀江界隈を案内するべくチャルカで待ち合わせた。毎日メールを交換しているのに会うとまた話すことがあるのが不思議(笑)。大根や白菜が入ったスープにパンと野菜入りオムレツ1切れとお茶がついているセットを食べながら1時間半ほどしゃべりまくった。
それからアメリカ村へ出て「遊べる本屋さん ヴィレッジヴァンガード」を探検した。本の探偵ともいえるS嬢もまだ知らなかった本があったりして、1時間半しゃべりながらうろつく。わたしは絵はがき、S嬢は本を数冊買った。アメ村を散歩しつつ「パット・オブラエン」にたどりつく、お茶とクラシックなケーキがおいしかった。ここでは1時間おしゃべり。
今日は徹底的にS嬢とたのしもうとオーパの別館にあるquatre saisonsに入った。わたしはのんきにも店の名前を覚えてなくて「おしゃれな雑貨店があるねん」とか言いつつ入っていったらS嬢がすかさず「キャトルセゾンやないですか、大阪にもできたんや、オリーブ少女の世界やわ」と言ったので、そうかって思ったわけです。何回かお祝いやお見舞い品を買っているのにね。ええかげんなやつやなあ。
御堂筋に出ると暗くなっていた。別れ難く、まだ東急ハンズへ行ったことがないと言うので一番上まで上がって順番に見てまわった。わたしは年賀状用のハンコとスタンプパッドを買った。それでようやくお別れ。帰ってからまたメールが行き交うのでしょう。いとおかし。
ドールハウスを見ていたら1993年神戸の兵庫県立近代美術館で見た「ホックニーのオペラ展」の舞台模型を思い出した。大きさや精密さがそっくりなのだ。中でもストラヴィンスキーの「放蕩者のなりゆき」の舞台は建物の正面、ベッドルーム、コレクションを飾ってある部屋、そのままドールハウスと言ってもよいようなものだった。もちろんホックニーの創造力と遊び心をドールハウスと比べることはできないけれど。
カタログを出してきて見ると「放蕩者のなりゆき」のほか、モーツアルトの「魔笛」、ストラヴィンスキーの「ロシニョール」、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」、プッチーニの「トゥーランドット」で、舞台装置のほかそれぞれ衣装もデザインしている。模型を見ているとほんとうに楽しくて舞台を見たくなる。
この展覧会に行った後、レーザーディスクでイギリスの私設オペラ劇場グラインドボーンでの「魔笛」が出ているのを知り手に入れた。グラインドボーンは1930年代にイギリスのオペラ好きの貴族の私邸に作られた劇場で、最初は300人しか入れなかったが改築して現在は定員830人だそうだ。リヒアルト・シトラウスのものとかけっこうレーザーディスクで出ているのをわたしは手に入れている。レーザーディスクのような機械で見てもすごく近くで見ているような気がする劇場である。
ホックニーの装置と衣装の「魔笛」はグラインドボーンで上演されることを意識したような、こじんまりとした美しい舞台だ。ここが初演だしね。童話風でポップな舞台と衣装、それまで何回か見た「魔笛」とは全然違う楽しい舞台に仕上がっている。パパゲーノとパパゲーナがとりわけ楽しい。
「トリスタンとイゾルデ」も思い切っておしゃれな舞台だ。生きているうちに一度見たい、なんちゃって。
トップページにバナーで告知しているとおり、この秋刊行予定だったサラ・パレツキーの新作「ハード・タイム」は今月18日ごろ発売と早川書房から連絡をいただいた。“ごろ”というのがちょっとひっかかるけど、まあ、とにかく…良かったです。
「バースデイ・ブルー」が1994年10月だから、まるまる6年待ったことになる。秋まで待って、また待たされたんだから待ち遠しかった。みなさま、もう少しです。
大丸梅田店でやっている「ドールハウス展」にいっしょに行ってほしいと、知りあいが入場券をくれたので一緒に行ってきた。最近梅田に縁があるわ。いまのわたしにとってドールハウスは少しだって感慨をもたらすものではないが、きれいなものならちょっと見たいと思った。
子どものころに紙でできたドールハウスを持っていた。折り畳み絵本と同じで、立ち上げると部屋になる。テーブルや椅子やベッドが後ろのつっかい棒のような紙に支えられて各々所定の場所にある。紙の人形をそこに置いて自分がつくった物語がはじまる。これではほんとによく遊んだ。人形には厚紙で服を何枚も作ってやった。
大人になって一度だけ夢忘れがたくソニープラザでアメリカ製のセットを買ってきて作りかけたことがあったが、挫折してしまった。木の箱を作ったけど中身がむずかしくて手に負えなかった。作りたかったのは「小公女」の屋根裏部屋。寒くひもじくて泣き寝入りしてしまったセーラが夜中にパチパチいう火の音で目が覚めたとき、暖かい羽布団がかけられ、暖炉に火が入り、石壁に布が掛けめぐらされ、テーブルには食べ物がいっぱい。服が枕元におかれている、といったシーンを作ってみたかった。
ドールハウスからもう気持ちが離れているとはいえ、少しは期待して見たのだけれど、展覧会にあったものはわたしにはなんの想いももたらさなかった。中年女性がいっぱいの会場で居心地が悪かった。見た後は材料やパーツが売っている売場がある。学校の案内もある。ドールハウス作りは健全な趣味なんだ。同行者を待つ間パーツ売場をふらふらと眺めていたら、ソフアに寝そべらすにちょうどよい3センチほどのネコがあった。1個4800円だって! これはお金のかかる趣味なんだ!
帰りに1階下のフロアのポール・ボキューズのサロン・ド・テに寄った。ココアを頼んだら上品でおいしかったけど量が少ない。突然京都三条フランソワのココアを思い出した。あたたかくっておいしくって量のあるフランソワのココア、なつかしいな。
札幌から来ている知りあいを今度は梅田に案内することになった。梅田ってどこに行ったらよいやら百貨店か地下商店街くらいしか考えられなかったが、突然、新梅田シティスカイビルがひらめいた。あそこは下の草花庭園しか行ったことがない。ちょうどいい機会だとばかりに案内がてらわたしも楽しむことにした。心斎橋からタクシーをおごって四つ橋筋を通って大阪のビジネス街を見せながら、普通なら大阪駅の裏手から地下道を行くスカイビルに到着した。まず滝見小路という名称の地下街をぐるっと歩き、焼鳥屋で滝見弁当というのを食べた。おいしかった。ちょうど昼時でビジネスマンも食事していて混雑している。
それから展望台入口へ行くと、今日は視界良好と表示があった。1人700円払って高速エレベーターで35階まで上がり、長いエスカレーターで大きいガラス窓が四方にある展望台へ出た。同行者はちょっと高所恐怖症気味でエレベーターとエスカレータが怖かったそうだ。コーヒーを飲みながら周りを見渡すと、遠く明石大橋と淡路島が見える。六甲山、箕面能勢の山々、生駒山、二上山、葛城山、金剛山、紀伊山脈がぐるっと見える。係りの女性が説明をしてくれると言うのでおのぼりさんになってついて歩いた。東西南北に見える大阪を説明してくれる。そこから階段をぐるぐると昇ると今度は吹きさらしの外である。夜になると足下から雲のようなものを吹き出してくれて、雲の下に大阪の夜景が見えるようになっているとのこと。さすがに風が強く感じられる。地上に降りるときは安心感がどっとやってきた。今度は夕方の大阪湾に沈む太陽を見に来よう。
「ボルチモア・ブルース」「チャーム・シティ」に続くボルチモアの女性探偵テス・モナハンもの第3作。この本ではアンソニー賞とアガサ賞をもらっているし、前2作でもたくさんのミステリ賞をもらっているという。ボルチモアという土地と人情、うら悲しい犯罪を書いてうまい作家だと思う。
「スタンド・アローン」(ハヤカワ文庫 800円+税)は新しく探偵事務所を開いたテスのところへ同じ日に2人の依頼人が現れる。最初に来た老人は元受刑者でかつて彼が危害を加えた少年たちにつぐないをしたいので、彼らを捜してくれというもの。2人目の黒人女性ジャッキーは若いときに産んで養子に出してしまった子どもを捜してくれという。両方の捜査をすすめていくが、老人のほうでは捜すうちに死者が出る。女性のほうはテスの若いころを知っていての依頼だった。テスが祖父が経営するドラッグストアで麦芽入りチョコレートを飲んでいたとき、ジャッキーは奥でハンバーガーを作っていたと言う。
ジャッキーの子どもの行方を調べているうちにテスの家族問題も浮上してくる。死んだ祖父に家族の知らない子どもがいたり、わがままな祖母と苦労人の母、母を大切にしている父、テスが失業中のとき仕事を世話してくれた叔父ドナルド、書店を経営している魅力ある叔母キティ。煩わしいけれど愛情もあるというボルチモアという土地に住んだ人間の匂いがある。弁護士のタイナー、マーティン・タル刑事、2人の男友だちもそれぞれ魅力がある。
こんなところがあった。ジャッキーと夜遅くなってからここなら大丈夫とテスが連れて入ったバーで、ジャッキーがわたしが黒人だからみんなが見るのかと問う、テスは黒人と白人のカップルだからと答える。「あなた、みんなが白人であることには目ざとく気づいたけど、みんなが女性であることは見落としたわね」2人はレズビアンバーに入ったのだ。
また、テスが若いときに摂食障害になった話をしていて、「過食というのはアルコール依存症に似ているんだけど、きっぱり断つという選択ができないの。だれだって、食べなくちゃならないでしょ?」というところにもうなづけるものがあった。
ヴィクや他の女性私立探偵小説と同じように、アメリカにおける福祉、児童保護、里子制度、養子縁組などの問題に具体的に触れられて勉強にもなる。
友だちが友だちを紹介したいとのことで夜梅田で会うことにした。ちょっと用事を片づけてから時間があったので、ビデオがたくさんあると聞いていた梅田のレンタルビデオ店TSUTAYAに寄ってみた。ほんまたくさんあったわ。いつも行く大正のTSUTAYAとは大違い。「ER」もたくさんあっていつ行っても借りられそう。大正店だってうちの近所と比べたら月とすっぽんだったんだけどね。「グリーンマイル」なんかタタミ半畳分くらいの棚にぎっしりとあった。名作映画もマイナーなのもいろいろあって、あんまりたくさんあるのでくらくらしてなにも借りなかった(笑)。いまちょっと映画を見るという気分から遠いせいもあるけど…。
久しぶりにもうクリスマスの気分がただよう夜の梅田を歩いて、まだ時間があったのでL・L・ビーンへ行った。ゆっくり見たが欲しいと思うセーターがなくて残念、その代わりにピンクの花柄のお皿とスープ皿が気に入ったので買った。
友だちの友だちは感じ良く楽しい週末の一夜を過ごすことができてよかった。