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「ハード・タイム」を読んで

苦手な人─アビゲイル・トラント─

吉岡 縁

 本当に題名通り、ハードな内容でしたね。刑務所内のセクシャルハラスメントを始め、たくさんの問題が山積みな、内容でした。が今回私はあえて、違う方向で感想を書かせていただこうと、思います。すいません。軟弱者で。
 アビゲイルが登場したとき、その完璧な容姿、生活環境、お生まれ等、ただうらやましいだけだったのですが、読み進んでいくうちに、なんだか違和感を感じてきたのです。人のために何かお手伝いをしてあげているなんて、思うんはおこがましいんじゃ。と、根性の腐ってしまっている私は、フツフツと怒りが沸いてきたのです。だって、彼女がだんなに、「彼女に仕事を世話してあげて」なんて言わなければ、ヴィクは多分ここまで、首をつっこまなかっただろうに、と思いません? そして本人はいいことをしてあげたとしか、感じていないんですよ。真実を知ろうとしないのか、知りたくないので無意識に切り離しているのか、決して彼女はボロボロになることはないでしょう。まわりの人は、ふりまわされるだろうけど。きっとその様子をみても、自分とは違う範疇のできごとにしか、思えないんだろうなぁ。
 でも、なんだか彼女が苦手に思えるのは、自分のタイプとはほど遠く、自分に持ってないものばかり持ってて、嫉妬してんのかなぁ、などとも思うのです。もしかすると、多少そんな気持ちも入り交じってはいるとは思いますが、自分とはかけはなれたタイプなので、理解不能状態で、パニクっているのでしょう。やっぱり、理解できない人って苦手ですよね。次に打つ手が決められないから。
 どうも、お近づきにはなりたくないタイプ。というより、向こうの方で私なんか相手にしてくれないかも。たいがい、ヴィクに係わった人達はなにかしら、変わっていくんだけれど、彼女は何か変わったんだろうか? 何年か後の彼女がみたいものです。(きっともう出てこんやろね)


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