若狭だより 27
上村 縁
いつものように、いえおじいさんがいないので、2匹を私1人で散歩につれていきました。ホームズはおりこうさんなので、たんぼエリアに入ってからは、綱をはなしてやりました。そしていつものように、過ぎていくところでした。
散歩コースももう少しで終了というところで、前方に小型犬発見! 急いでホームズを呼び、引き綱をつけました。ホームズはよその犬に対して、さして対抗意識はないし、また雌犬だったとしてもほとんど興味をしめしません。が、じんたはもういい年だってぇのに、「ココは俺がしめてるんだ」というやる気満々で、どんな犬にでもくってかかります。雌犬の場合はさかっていきます。恥ずかしいくらいに。ホームズはやる気なしと前述いたしましたが、じんたがかかっていくと、「わぁ、楽しそう。僕もまぜて」と2匹で躍りかかっていきます。
今回は小型犬が相手なので、うちの2匹を相手にしてはひとたまりもないでしょう。そこで、道の曲がり角で待機していたのですが、その小型犬と散歩しているおばさんは、普通は待機してもらってるのを見たら急いでコースを進むか、変えるかして接触をさけるのに、ぼけーっとマイペースで(とろいスピード)散歩してるのです。私もこんなところで、ゆっくりしている暇はないので(味噌煮込みうどんを煮込んでいた)、しかたなく、あまり広くない道の反対側を2匹とともに、歩き出しました。それが失敗のもとでした。曲がり角はアスファルトがひいてある道で、足場がしっかりしていたのですが、歩き始めた道は砂利道で、雨によって足場がぬかるんだとこだったのです。
小型犬に近づけば近づくほど、じんたは甘えた声を出し(多分相手はめす。雄のときはウナル)、向こうへと私をひっぱります。ホームズは「向こうにええことあるんか?」と一緒になってひっぱるし、大型犬2匹に引きずられているのを見たら(気付いてなかったのか?)その場を急いで逃げるのが、散歩のルールです。自分の安全確保のためでもあるし。が、その人はあいかわらず、のんびりとしていました。
そのとき、ホームズとじんたの引き具合のバランスがみょうにずれて、じんただけが向こうへ行きかけました。「じんたが行ったら、犬やられるぅ」と思ったので、必死で綱をよせたら、もともと足場わるいところだったので、ずっこけてしまいました。「チャーンス」と思ったじんたは即、走ります。もちろんお調子者のホームズも走ります。私は、行かせてなるものかと、綱を必死でひっぱります。その状態はまるでインディー・ジョーンズ。匍匐前進の状態で、犬2匹に引きずられているのです。よく映画とかであるでしょ、トラックや馬に引きずられているシーン。まさにあれだったのです。普通、そんなの見たら、「だいじょうぶ?」とか「すいませーん」とか言って、自分の犬をどかせるはずなのですが、そのおばさんはポカーンと立ってます。どうも気付いていないようです。うちの2匹がそのラブリー小型犬を狙ってると言うことに。そして私がそれを必死でくい止めるために、引きずられながら頑張っていることに。
2匹の力がゆるんだ時、立ち上がろうと中腰までもっていったのですが、また強力な引きにずっこけ、ズルズルと。それでも動こうとしないので「すいません、犬抱き上げてどっか行ってもらえません?」と、寝ころんで引きずられながら言いました。やっとわかったらしく、おばさんは逃げていってくれました。対象物が遠くへ行ったので、2匹も力がゆるみ、おかげで立ち上がることができました。ジャンパー・ズボン泥だらけ。痛いし、汚いしもう最低の気分でした。
現場から、うちはすぐだったので、その姿を人目にさらすことはありませんでしたが、家に帰って母には大笑いされるし、子供達には「お母さん何してきたん?」と怪訝な顔されるし、さんざんでした。また帰った直後は、興奮と寒さで痛みも少なかったのですが、手を洗いズボンを履き替えてると、足は青あざだらけの傷だらけ。手は左薬指の皮がむけて血だらけでした。
そのせいかどうか、昨日から腰が痛くて歩きにくいです。もちろん、2匹は涼しい顔で、今日も散歩へ連れてってくれと、おねだりしています。
2002年1月