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VIC FAN CLUB: ESSAY
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ともこの読書日記 1

じごくのそうべい

じごくのそうべい


本の続きは夢の中で…

嶽山 智子
Tomoko Dakeyama

子供ができたら膝のうえに座らせてゆっくり絵本を読んであげよう…。ほんわかした私の夢は共働きの現実の前に無惨にも吹っ飛んでしまいました。(もちろん共働きの家が全てそうではないでしょうが)子供が寝る前のわずかな時間、たまーに読んであげても「もう1回」のおねだりを「だめだめ」とはねつけてしまいます。でも、そんな環境の中、うれしいことに2人の子供たちは本好きになりつつあるようです。特に6歳になったばかりの上の子はひらがなが読めるようになって最近とみに読書の喜びに目覚めたようすです。親が良いと思う本を子供が好きになるとは限らないのがつらいところですが。

 お気に入りの一冊は「じごくのそうべえ」(童心社・田島征彦作・桂米朝、上方落語、地獄八景より)。おじいちゃんの読み聞かせで一字一句覚えている彼は、まだ字が読めない頃から本を開いて大きな声で読んでは(?)ケラケラと笑ってびっくりさせてくれましたっけ。
 田島さんの絵は私も大好き。閻魔さん、赤鬼、青鬼、黄鬼にピンク鬼までいてユーモラスな地獄絵図が繰り広げられています。でもなんと言ってもこの絵本のうりはその“上方ことば”です。なんと言っても出典が地獄八景ですから、言葉のテンポも良くて、読み手の方もついつい落語っぽく読んでしまいますが、この本はそれが正しい読み方なのですから、大阪弁でがんがん読んでいます。おちの部分が子供にはむつかしいかも知れませんが、なかなか読み手も楽しめますよ。続編の「そうべえごくらくへいく」は舞台が極楽なのでインパクトはあまりなく、興味はないようです。
 私が幼い頃図書館で借りて読んでいた本も、今では廉価版になって本屋さんに並んでいます。大好きだったケストナー、リンドグレーンの作品やメアリー・ポピンズ、ドリトル先生シリーズ、子供たちも夢中になるのかしらん。もうストーリーもおぼろげにしか覚えていないなつかしい童話たちを読み直すいい機会なのかも知れませんね。

1994年4月


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