わたしの大好きな本とCD 9
谷澤美恵
ザ・ブリリアント・グリーンの2ndアルバム。少しふっくらしてすっかり健康的になったヴォーカルのTommy(川瀬智子)の声は前作よりもグンと力強くなってます。1stの、あのアンニュイな感じも私は大好きだったのだけれど、この新しいアルバムのTommyはすごくカッコいい!1曲ごとに違った表情を見せてくれます。
やっぱりこのグループらしく、11曲中7曲が英語詞。今回のTommyの訳詞は遊んでてすごく楽しい。7曲目の「FUNNY GIRLFRIEND!!」なんて、もうおかしくって笑っちゃう。ほんとナイスなセンス。
3曲目の「Brownie the cat−魅惑の猫ルーム−」がとってもかわいい。これはTommyが一緒に暮らしてる猫ちゃん、ブラウニーへのラブソング。猫好きな人ならヘロヘロになっちゃいそうなキュートな曲。Tommyが撮ったブラウニーのカワイイ写真もついてます。そして4曲目の「CALL MY NAME」! けだるいブリグリしか知らない人はきっと驚くでしょう。ノイジーなギターに弾けまくってるキーボード、そしてかわいいけどちょっと狂気じみたTommyのヴォーカル。イカレ具合がたまらない。この曲はシングルカットされ、そちらの方は日本語詞になってるけど私は断然この英語詞のほうが好き。
意図的に訳詞がつけられていない8曲目の「Round and Round」は、業は巡る、アンタのその行いはそっくりアンタに返ってくるよという怒り(おそらくは少年犯罪への)が込められ、なんとなく凄みさえ感じるような曲。Tommyの“Imean it.”(本気よ) という静かな怒りの声が聞こえてきそう…。
ラストを飾るのはドラマの主題歌になった「長いため息のように」。歌詞が深く、しみじみと心に染みわたる曲。この曲に限らず、Tommyってホントにいい詞を書く人だなあと思う。その他に、「愛の・愛の星」、「そのスピードで」などのヒット曲も収録されています。
以前、取材を受けた時に「ライブでは意外に激しいんですね」と言われてムッとし、「一応ロックバンドですから」と返したという話をテレビでしていたけど、「静かな曲やってるからロックバンドじゃないだろう」っていう、固定観念を押し付けられることへの反発みたいなのはかなりあったのかもしれないなと思います。このアルバムは、その固定観念をせせら笑うかのごとく実に様々なタイプの曲がつまってて、誰が聴いても「あ、ロックだ」と思うような曲もあればカントリーっぽくて懐かしい感じの曲もあり、かと思えば「わっ、グラムっぽい!」と小躍りしたくなるような曲もあって、そのどれもこれもが見事にブリグリ風に味付けされてます。あらためてこの人たちの奥の深さと幅の広さを見せつけてもらったようでホントうれしい。これでますます目が離せなくなっちゃった。しばらくはこのアルバムを聴きつづけることになりそうです。
1999年11月