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ホモジェニック

わたしの大好きな本とCD 2

ビョーク「ホモジェニック」

谷澤美恵

 まず、ジャケットがすごい。一度見たら忘れられないようなインパクトがある。もともと東洋的な顔だけに違和感がなく、ハマりすぎていてコワイ。(笑) でも、私は彼女の顔がとても好き。太い眉、ちょっと上を向いた鼻、そして歌う時には顔いっぱいになる口。とても美しいと思う。

 曲は、オーケストラとエレクトリックドラムなどの機械的なリズムが見事に融合してて、それが彼女のエモーショナルな声を、よりドラマチックに盛り上げている。そこにグラスハーモニカ、パイプオルガン、アコーディオン(奏者はCobaさん)などが加わり、拡がりのある音を聴かせてくれる。それにしても、ああ、なんて声なんだろう! 何度聴いても圧倒される。
 9曲目の「プルート」がすごい。「失礼だけど、爆発しなきゃならないの。この体を脱ぎ捨てて、明日目が覚めたら少し疲れてるけど、でも新しくなってるわ」。そして叫ぶ叫ぶ。(笑) ウズウズと心の中の「何か」が騒ぎ出しそうな、そんな曲。でも「オール・ネオン・ライク」や「オール・イズ・フル・オブ・ラヴ」では悩み、疲れ、悲しむ者を無条件に受け入れ、「すべては愛で満ちている。ただあなたが受け取ってないのよ。信じなくてはだめ」と優しく、力強く歌う。「あなたはたった一人のかけがえのない人。自分をしっかり抱きしめて愛して。でも甘やかさないで」。彼女のそんな声が聞こえてくるような気がする。

 歌詞カードに描かれている血管の通った植物。そこには赤い血が流れている。このアルバムはまさにそんなイメージ。耳をすませばどくどくと血の流れる音が聞こえてくるかのよう。その音はいつしか自分の心臓の音と重なり、私は自分の心臓がしっかりと脈打っているのを自覚する…なぁんて、無意識のうちに彼女の世界にトリップしてしまう。でもなぜかとても気持ちいい。
 もしこのCDを聴く機会があれば、ぜひぜひヘッドホーンで聴いてください。ビョークの世界にどっぷり浸ることが出来ます。お勧めです。

1998年12月

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