カリフォルニアだより
杉山洋子
前に書いたか書かなかったか、私は根っからのテレビっ子です。日本にいる時(特に若い頃)は9時からのドラマを見るために仕事を切り上げて帰宅する、というくらい。そんな私が、異国にきたからといってTVから離れられようか? というわけで、何はともあれテレビとTVガイドを購入しました。
TVガイドを買って改めて実感。アメリカはケーブル大国です。ケーブルテレビのチャンネル数は、TVガイドにのっているだけで50以上。その他、マイナーな(TVガイドに番組表がのっていない)所を加えたらいったいどのくらいになることやら・・・でも、ケーブルのチャンネルを見ようとすると、日本と同じく会社と契約、受信料を払うことになります。ところで、地上波のチャンネル数は9チャンネル。で、「9もあれば十分だよね」と、私達はケーブルには加入しないことにしたのですが・・・なんと、ケーブル大国のここでは、一般のアパートにケーブル端子はついてても地上波用アンテナはついてないのです。「受信料くらいいいじゃん、いろんなチャンネル見られるし」ってことなんでしょうかねえ。結局室内アンテナを購入するはめになりました。
さて、TVドラマをみるぞ! でも、英語わかんないぞ! と思いつつ画面を必死に追う私。でも、すぐに救いの手が現れました。ダンナがテレビ画面の設定をこちょこちょといじると、「おお、字幕がでる!」英語の番組に英語の字幕。文字放送ってやつですね。日本ではNHKとか一部の放送だけだったと記憶しているのですが、こちらではほとんどの番組で文字も送信されてくるんです。そして、文字受信機能もたいていのテレビにはついているのだそう。本来の目的はともかく、私はこの機能にとっても助けられてます。
さて現在、文字に頼りつつもドラマ生活を堪能する私ですが、英語以外にも日本とは違うなあ、と思うことがあります。それは、連続ドラマの放送について。ご存知、人気ドラマキャストの出演料が想像外の世界になっているアメリカ。そのせいで番組を降りる人も多いようですが、「アリーMyラブ」とか「ER」ではみんながみんな、人気者ですからねえ。で、どうなるかというと、1シーズン(だいたい10月〜5月)中の本数が減るんです。空いたところに入るのは、特番とかではなくそのドラマの再放送。つまり、3週続けて新しい話が放送された後に、突然2〜3ヶ月前の話の再放送が1話だけ入る、というように放送計画がされるんです。最初は訳が分からず、「あれ?これ、前にも見た話だよ」とか「なんで予告編でAll
Newっていったりいわなかったりするんだろ、連続ドラマなんだからいつもNewにきまってるじゃん」とか言っていた私ですが、事情が判ってからはTVガイドを買うたびに「今週のアリーはNewかなあ」とかチェックするのも楽しみになりました。
そしてアメリカドラマを見る際に覚悟(?)しなくてはいけないのは、「いつ打ち切られるか判らない」ということ。1シーズンが長いアメリカ。もう定番になっているドラマならともかく、新番組は人気がないと判るや否や、突然姿を消します。とあるTV局が散々宣伝をして始まったドラマが、わずか1ヶ月ほどで話の収集をつけることもなく打ち切られ、何事もなかったかのように違う番組が始まったりして・・・その潔さには感動すら覚えます。また、これまたとあるTV局が日曜夜にはじめたドラマが、視聴率が悪いから水曜夜の人気ドラマの前時間に突然移動したりもしました。これは私がとっても気に入っていたドラマだったので、ある週、突然にTVガイドの日曜欄から姿を消した時には「うそ!」と必死になって情報欄を読んだものでした。(幸いこのドラマは視聴率も持ち直し、今シーズンも続行されるらしいので、うれしい限りなんですけど)
今は、今シーズンの始まりを間近にして「ようやくだー」と思っている私です。思い起こせば3ヶ月前、5月末には各ドラマのシーズン最終話に仰天させられました・・・。アリーとかERとかは普通にシーズンが終わりました。ところが先述の、水曜夜に移った「Ed(エド)」というドラマ。主人公のエドとキャロルという友達が夜、なーんとなくいい感じになる。ドアノックの音。エドがドアを開けると、そこにはエドの元彼女が・・・! そこで、おしまい。「・・・・え!?この状態で4ヶ月の休みに突入するの? う、うそでしょーっ!」画面を前に、ぼーぜんとする私・・・。別のドラマでは、主人公が瀕死の重傷を負って倒れている状態でシーズンが終わったり。
きっとこれも、視聴率が危ういドラマがファンをつかんでおくための作戦なんだなあ、とは判るんですけどねえ。万が一にもこの状態で10月に新シーズンが始まらなかったら、怒るぞ。くすん。
2001年9月