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VFC花物語へくそかずら 下岡加代子 イラスト:下岡加代子 |
へくそかずら下岡加代子 い頃、私は父に連れられて山へ行き、せっせと杉の植林のお手伝いをしていました。 その頃、私の家は「ぽっとん便所」でした。それよりもずっとダイレクトな、ヴィヴィッドな芳香に、私は思わず後ずさりしていました。 ところで、へくそかずらの実をすりつぶして、しもやけに塗ると、半月くらいで直るそうです。北陸地方の小学6年生男子が読売新聞の家庭欄で先日、教頭先生に教えられたこの迂遠な民間療法を伝授してくれました。どうもありがとう。 1998年3月 |
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おおいぬのふぐり下岡加代子 おいぬのふぐり」の花と名前は知っていても、「ふぐり」とは何かをご存知ない方もいらっしゃるでしょうから、ハッキリ申し上げますと、「きんたま」のことです。 稀代の名マンガ家、山岸涼子の作品に、「天人唐草」という一編があります。
主人公(女性)は幼い頃、友達と原っぱで遊んでいて、「あ、おおいぬのふぐりだ!」と喜んで摘みます。すると友達は「いやらしい」と言うのです。何故いやらしいのか、教えてくれません。家に帰って母に聞くと、「そんな言葉を口にするな」などと怒られます。主人公は訳も分からず、「この花は天人唐草というの。そのほうがきれいでしょ」という母の言葉を鵜呑みにします。 ところで、私は傘を4本持っていますが、そのうち1本には白地にいろんな犬がたくさん描いてあります。大きめなので愛用してるのですが、ある時、その犬たちをよく見たら、全部「オス」でした。 1998年3月 |
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ままこのしりぬぐい杉谷 久美子 実は若いころ「歩く植物図鑑」と呼ばれていました。街を歩いていても、街路樹の足下の雑草を、「これは**やで」と教えたがるし、ハイキングなんか行くと、もう得意満面で、ひとにうるさがれることがしばしばでした。いまも変わりませんけどね。こんな町中でもオオイヌノフグリ、ハコベ、ホトケノザ、タビラコ、タンポポなどがけっこう見られるし、種子がトラックで持ってきた土の中にでも入っていたのであろうスミレも、しょもうない溝の中に毎年咲くのです。 だけど、やっぱりこの名前はひどいよね。オオイヌノフグリは見た状態の名前だし、ヘクソカズラは匂いという現象の名前なのに、ママコノシリヌグイは悪意が立ちのぼってくるもんね。 1998年3月 |