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私のボランティア体験〈1998.6〉

 大学のとき(ひゃーっ、もう10年以上になる!)、校門の前でビラをまいていた脳性マヒの女性。駅の近くに「ひとりで」住んでいる、24時間介護がいるのだが介護者がたりない。少しでもいい、時間があったら家にきて欲しい。そういう内容でした。
 手足すらほとんど動かせない障害者が、ひとりで住んでいるなど、今でも考えられない状況です。が、当時もその人は、介護者の少なさに悪戦苦闘しながら、親の家から独立し、自立生活を送っていました。
 私は本当のことを言うと、ボランティアとかに興味はありませんでした。しかも、そういう「介護」って、いったん始めたら容易にはやめられんだろうと感じていました。だから、その人の家に行って、話を聞こうと決心した後も、やめようか、やめたい、やめとこうなどと考えながら家に向かったのです。

 それから10年。いまや古株です。結論からいうと、介護をやっててよかった、ラッキーだったと思っています。 よく「ボランティアやってるの、偉いわねえ」などといわれますが、全然偉くない(からだはエライですが^^; 言うくらいなら、手伝えよ)。私がやっているのは「ボランティア」ではなく、ちょっと異質な「友人関係」にすぎないと考えています。まあ、こんな偉そうなこと言っても、気がつくと障害者に対する優越感を持ってたりして、げげげと思ったりしますが。
 介護はたいへんです。しかし、それに見合うだけの充実感(自己満足とか、よく言われますが)というか見返りが、必ずあります。どんな風に感じるのかは、その人がどういう人かによりますが、私の場合は、もし介護をやってなかったら、と思うとぞっとします。

 介護はいいでっせー。私の場合、組織とかに属せず、ひとりでやってるので何の保証もありません。しかし、そこに集まってくる人々は、障害者も健常者も、一癖もふた癖もありながら、自分が何者か、そして何をめざすのかを知っています。介護という、しんどい絆で結ばれた友人達。「つらい試練を乗り越えてこそ、達成感が味わえる」とかなんとか、ヴィクも言ってませんでしたっけ?
 いやー、なんかすごく偉そうに言ってしまいました(いつもそうだが)。失礼しました。

 私の介護ボランティアは独り暮らしの障害者か、施設の人が主です。施設もすごいですよー。初めて行ったときは、足がすくみました。まあ、施設にもよるんでしょうが…。この話、始めると21世紀ぐらいになっちゃいそうなんで、とりあえずはここまで。

1998年6月

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