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Chissarossa の I LOVE CINEMA 18

手を替えシナを変え・・・「キング・アーサー」

 アーサー王の物語は、一体、何パターンあるの??
 紀元6世紀の伝説的英雄の噂噺というか、言い伝えと言うか・・・に端を発し、9世紀「ブリテン人の歴史」(ネンニウス著)、10世紀「カンブリア年代記」、12世紀「ブリテン列王史」(モンマス著)と「アーサー王の死」(マロリ−著)で、いわゆる、”アーサー王と円卓の騎士”の話が出そろう事に・・・な〜んて、また、遠い昔から、気の遠くなるように諸説だらけ。「トリスタンとイゾルテ」だとか、「ランスロットは荷車の騎士」だとか、円卓の騎士達が主人公のお話まで入れれば、膨大な数になっちゃいますね〜ん?ヨーロッパの昔物語りって、どれもこれも元ネタ=アーサー??って事?
 さて現代。これが映画に、テレビドラマに、舞台、ミュージカルと様々な形で、手を替えシナを替え、アーサー王の物語は登場してます。映画においては、ショーン・コネリ−&リチャード・ギアの「トゥルー・ナイト」、ジョージ・ハリスの「キャメロット(ミュージカル)」、ブアマン監督の「エクスカリバー」、ディズニー映画の「王様の剣」、ワーナ−アニメの「魔法の剣キャメロット」が有名でしょう。
 夏休みに相応しい映画として、グッドタイミングな公開となった『キング・アーサー』は、様々な諸説あるも、15世紀の設定です。また、アーサー王は、ローマ人とブリテン人のハーフで、ローマの指揮官として登場しています。これは、ここ20年ばかり流行って来ている、”外人傭兵として、防衛の最先端ハドリアヌス城塞に配属されいたサルマート人の騎士達が、契約期間を終了した後もその土地に残り、ローマ指揮官の名前を残し、代々、自分達の首領をアウトリウス=アーサーと呼んでいた”事から、アーサー王伝説が生まれた・・・という、アーサー王=サルマート人説による展開とのこと。
 アーサー王の話なら、子どもの頃見たディズニーの「王様の剣」で充分と思っていらっしゃる方、いやいや、ブアマンの「エクスカリバー」一番だよ・・・と思っていらっしゃる方も、是非、見てみて下さい。新説アーサー王のお話が、実に興味深く展開されます。それはそれは、新鮮な事この上無し!
 アーサー王の話と言えば『騎士道』と言いたいところですが、新説アーサー王物語の見どころは、朗々と騎士道を語るだけでなく、立派なアーサーはどこまでも正義の人よ、理想主義者よで、とにかく凛々しいのだけれど、現実を見よ!そして、現実に如何に対処し、理想を現実化させるのか?と厳しく迫り、その役割を、ランスロットに対比表現させ、眉目秀麗は当然として、二刀流で女たらしで、常に仲間の命を心配する超現実主義ってのが面白いですねえ。それから、お姫さま〜なはずのグィネヴィアが、アーサーも顔負けの、ブリテン人戦士なんて凄い展開だし、アーサーに人間の尊厳と権利を語らせ、ラインスロットに現実と友情を語らせ、グィネヴィアに愛国と独立心を語らせ、形骸化した何かに頼るのでなく、何ものにも惑わさせる事も無く、自身のプライドを信じて生きよ・・と正しい事を正しいと、言い切ってくれるのが嬉しいじゃありませんか。

【物語は・・・・】
 故郷を引き離され、常に死と隣り合わせの15年間、サルマート人の傭兵としての役目を終えられるその日・・・1ローマ人家族を救出するという、一番過酷な命令が下された。
 苦悩しつつも、大義のために部下を率い任務に付くアーサー(クライブ・オゥエン)。不満を胸一杯にも、15年間に築き上げて来たアーサーとの強い信頼に応える騎士達は、アーサーが無二の親友にして、最強の騎士ランスロット(ヨアン・グリフィズ)、外見の無骨さとは異なり、優しい好漢ダゴネット(レイ・スティーブンソン)、愛鳥とのコンビネーションで鋭い偵察をこなし、ダガー、弓の名手トリスタン(マッツ・ミケルセン)、猛々しいが陽気で子煩悩、愛妻家であるボース(レイ・ウィンストン)、一番若く、繊細なガラハッド(ヒュ−・ダンシー)、戦いに自分の存在意義を見い出すガウェイン(ジョエル・エドガートン)と・・・もはや、たったの6人となってしまっていた。
 ローマ人の敵は、マーリン(スティーブン・ディレイン)率いるウォード=ブリテン人、セルディック王(ステラン・スカルスゲ−ルド)率いるサクソン人。しかし、ローマ帝国の衰退も激しく、ハドリアヌスの城壁から撤退する事に・・・。マーリンはサクソン人の侵略からブリテンを守るためには、アーサー達と手を組しかないと考え始めていた。
 何とか救出に辿り着いたマリウスの館では、実に、恐るべき事実が発覚。ブリテン人の村人を農奴とし、改宗しない者は拷問、牢死させていたのである。その中に、グィネヴィア(キーラ・ナイトレイ)もいた。
 マリウス一家と村人を連れ、サクソンの追っ手を交わしながらの逃避行が続くも、弓の名手グィネヴィアが加わり、ダゴネットの貴い犠牲により何とかハドリアヌス城壁に辿り着き、騎士達は遂に自由を得る。
 しかし、既に、城壁の外には、サクソンの6千もの大軍が迫っていた・・・さあ、どうするアーサー!?
 ・・・この続きは、是非に映画館にて御覧下さりませ〜〜〜

2004年8月

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