Chissarossa の I LOVE CINEMA 17
『ハリ−・ポッタ−とアズカバンの囚人』は、イギリスの某場所に密かに存在する、ホグワーツ魔法魔術学校で、孤児のハリ−・ポッタ−を主人公に、ハーマイオニー・グレンジャー、ロン・ウィ−ズリ−仲良し3人組が、勇気と知恵と友情で、次々と難問に立ち向かい、解決し、成長して行くファンタジーストーリーを映画化したものである。『〜アズカバンの囚人』は学年令と共に1巻ずつ進められて行く本の設定の3巻目になり、ホグワーツ魔法魔術学校の3年目、13歳のハリ−達の1年の様子と言うわけである。映画も3巻目というわけ。(1巻、2巻については、機を失ってるのよね・・・そのうち絶対書くわ!)
余談だが、物語りの設定で行くと、主人公のハリーは今年24才になっているはずだが、出版では、この夏、ハリーの誕生日である7月31日に合わせて出版される原作で、遂に6巻目となり、16才に。日本では5巻目で、15才になって登場する。(こういう余談こそ、ファンにはたまらない情報なんだよね!)
さて、ハリーを始め、主人公の3人組に、その他のメンバーもそのまんま維持されての3度目の撮影。
しかしながら、残念な事に、たったひとり、ハリーの真の保護者とも言えるホグワーツ魔法魔術学校の校長であり、現代においては最も偉大な魔法使いと言われる、ダンブルドア校長の役だったサー・リチャード・ハリスは、大変残念な事に、2003年10月25日、72才でこの世を去ってしまった。(彼の「ワイルド・ギース」は最高だわ!・・・御冥福を心よりお祈り致します)
この偉大な俳優の代わりを務めるとなると、大変なプレッシャーになると思われたが、新しくダンブルドア校長を演じたマイケル・ガンボンは、見事にそれをやり遂げた。新学期の始まり=映画の冒頭部分に、校長のお言葉があるのだが、その声はサー・リチャード・ハリスのそれより朗々と響き渡り、いきなりマイケル・ガンボン=ダンブルドア校長を印象づけて、映画を程よく緊張感に導いている。
第3巻の新しいメンバーとして、ルーピン先生(デイビッド・シューリス)、マージ−伯母さん(パム・フェリス)、マダム・ロスメルダ(ジュリ−・クリスティー)、トレローニー先生(エマ・トンプソン)、シリウス・ブラック(ゲイリ−・オールドマン)、ピーター・ペティグリュ−(ティモシー・スポール)が加わった。皆、イギリス、アイルランド出身の芸達者な大物俳優陣で固められている。
物語は・・・。
ハリ−(ダニエル・ラドクリフ)は13才の誕生日を迎えた・・・が、相変わらず法律上の保護者ダ−ズリ−一家はハリーを冷遇している。無くなった両親の悪口を言われ思わずカッとなったハリーはマージ−伯母さんを風船の様に膨れさせ、家出してしまった。あ〜〜らら、家出したところでハリーには行くところなんかないし・・・と溜息吐いたら・・あれまあ!目の前にいきなり、迷子の魔法使い救助隊『ナイトバス』の登場!!ナイトバスに振り回され、魔法使いの繁華街ダイアゴン横町へ。
新しいホグワーツの生活は、不安が一杯だった。ハリ−の父を殺す事に協力したシリウス・ブラックが、アズカバンから脱獄し、ハリーを狙ってホグワーツを目指しているというのだ・・・。ホグワーツには、ディメンタ−(吸魂鬼)が配置されてしまった。ハリーはディメンタ−が恐くて仕方がない。ディメンタ−は人の不幸や哀しみ、恐怖を増幅させ、晒し、魂を吸い取るのだ。
父の親友であったルーピン先生の指導を受け、ディメンターの攻撃を交わす、唯一の呪文「パトローナス・チャーム」(この呪文は魔法魔術学校の卒業試験より遥かに高度で難しい)を身につける。
ある日、とうとうシリウスがホグワーツに姿を表した。そして、ロン(ルパート・グリント)とロンのペット、ねずみのスキャパーズをさらって行ってしまった。後を必死で追うハリーとハーマイオニー(エマ・ワトソン)。なんと、シリウスの狙いは、ハリーではなく、ねずみのスキャパーズだったのだ!
次々と明かされる秘密・・・ねずみのスキャパーズはペティグリュ−、彼こそはヴォルデモ−トの子分にして、ハリーの父を殺す事に協力し、シリウスに濡衣を着せた張本人だったのだ。
しかし、ペティグリューは再び脱走、シリウスの汚名が晴されることはなかった・・・シリウスが危ない!ハリーの父、ジェームズの1の親友で、ハリーの名付け親だったシリウスを、ハリーは何とかして助けたい・・・一体、どうすれば!?
ハーマイオニ−が首にかけていた小さな砂時計付きネックレスをハリーにかけ、時計を3度巻き戻した・・・・・ハーマイオニーは一体なにを?
前回、前々回の監督コロンバスは製作に回り、今回はメキシコ出身の新進気鋭、A ・キュアロン監督に道を譲っている?なんでまた「?」が付くのかと言えば、3作目のこの映画、原作を大胆なくら削って芯だけにしてしまい、大事なところを際立たせる事に成功させている。しかも、ストーリーをグイグイ押してスピーディ感に溢れ、力強い。ひょっとして、原作を凌いでいる様にも思う・・・。後進に道を譲るどころか、取って喰われ〜〜〜ってな感じもしないではない。とにかく、このキュアロン監督、
う〜〜〜〜ん、やるねえ!
それから、当たり前だけど、ハリ−、ロン、ハーマイオニーがみんな揃って大きくなったものだ!身体的にも俳優としても、物凄い成長を遂げている(欧米人って本当に、この年令辺で倍ぐらいの成長するよね)。まったく驚いてしまう・・・たじたじ・・・。
このハリ−の物語が、何故にこんなに支持されるのか?・・今回の映画が顕著にしている様に思う。
ハリ−、ロン、ハーマイオニーたちは確かに魔法使いで、困難事を呪文でクリアしたりもするけれど、ここで説かれているのは、それにしたところで、それらに立ち向かう意志の強さ、意志を持続させる力と努力、それらの繰り返しこそが、勇気と自信を紡ぎ出す・・・という事を、常に提示してくれているからだろう。
きれいごとばかり言っても始まらないと、ふて腐れて何もしないより、まずは、逃げずに実行してみる事こそ、自分の人生を豊にする方法なのだと教えてくれているのだ。
夏休み、大人も子どももこの映画を見て、何か自分自身の励みや会話のきっかけになれば・・・と思う。
2004年7月