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Chissarossa の I LOVE CINEMA 12

「ミスティック・リバー」〜ゴールデン・クローブ賞を見ながら〜

 【第61回ゴールデン・クローブ賞】のテレビの録画放送を見ながら今回はお届け。ハッキリ言って、こういう世界的に有名なアワォードの放送ってのは、オリンピックばりに面白いものなので、こっちを主題にしたいくらい・・・だけどね、これを読んで頂いてから、それじゃあ、これから見に行こうか〜ってなわけには行かないので、脇にしました。今年は本当に久々に日本人、前回に申し上げていた渡辺謙が「助演男優賞」にノミネートされているから(結果は既に巷に流れる通り、賞こそ外したけれど)、どんな風に渡辺謙が会場で過ごしているかも興味津々!《うん、大丈夫!・・・役柄の様に侍風ではないけれど、ハリウッドの世界的に名前が売れてる役者達に全く引けをとらず、存在感あるある〜》再放送の折には、皆様、是非に御覧下さい。映画なんかより余程こっちの方が面白いかも・・?なんてったって、そのスピーチが素晴らしい!いずれも名スピーチですから。これは、ウィットに富んだ会話等を学ぶに、とても役に立つと思いますよ〜。
 本題の「ミスティック・リバー」は、アカデミーにも6部門もノミネートされてます。監督は「ダーティー・ハリー」だ、「荒野の用心棒」だ〜のクリント・イーストウッド。でもねえ・・・今年は、作品賞や監督賞は難しいのよ〜全く強豪揃いだから・・・。しかしながら、演技賞はとれました!ショーン・ペン=主演男優賞に、ティム・ロビンス=助演男優賞。うーん、ティム・ロビンス相手に負けたんなら納得行くでしょ、渡辺謙さん。ゴールデン・グローブ賞は外国人記者協会なるところが主催して、その会員の投票にて賞が決まります。ハリウッドに肩入れせず、テレビ部門と映画部門に分かれ、なおかつ、シリアスドラマ、コメディー/ミュージカルと分かれているので、アカデミーよりは公平感があるという感じは否めません。それでも、アカデミーに一番近い賞なので、アカデミーの前哨戦とも言われますし、このゴールデン・グローブがアカデミーの指針となり駆け引きがが始まるとも・・・よって、ゴールデン・グローブを取るとアカデミーは取りにくいなんて話もあるくらいです。・・・でも、これはホントっぽい。ゴールデン・グローブとれたし、アカデミーは遠慮してって感じなのかな?・・・あ、これは拙者のひとりごとね・・・・
 さて、この「ミスティック・リバー」・・・デニス・ルヘイン原作のミステリーではありますが、原作においても大変注目されるべきは、ミステリーの仕掛けそのものではなく、物語性とそれぞれの人物像、並びにその背景を社会的観点で深くえぐり出す点です。(この意味では我等のサラと似通った感覚の持ち主かと・・)今回、クリント・イーストウッドもこの点に大変こだわりがあるようです。これは、「ダーティー・ハリー」という“アンチ・ヒーロー”を演じ続けた、彼ならでこそのこだわりなのでありましょう。アカデミー、ゴールデングローブ賞を総なめにした、彼の最後の西部劇「許されざるもの」に代表される、確固たる“現実を撮る”というこだわり・・・。
 物語は、三人の男の子たちが道路でホッケーをして遊んでいる、そこへ警察を語った男二人組がその中の一人を車で連れ去ってしまう。三人のうちの誰でもよかったけれど、そのうちの一人、デイブを。彼は地下室に閉じ込められ、男達から虐待を受ける・・・誰も助けにきてくれない、彼の絶望感は如何程のものであったか・・・。25年後、大人になった3人は悲惨な刹人事件を介して再び集まって来る、一人は容疑者として、一人は刑事として、もう一人は娘を殺された親として。今や不良中年をやらせれば、これ以上の人は居ないと思わせる貫禄ある俳優になったショーン・ペンが娘を殺された父親役ジミー。私情に流されまいと公正に仕事に取り組む、怜悧で沈着冷静な刑事役ショーンはケビン・ベーコン、手堅い設定です。事件の影を引きずるがために暗く、繊細で今にも崩壊しそうだが、一所懸命に生きようとする容疑者役デイヴにティム・ロビンス・・・(ゴールデン・グローブ賞の会場にいる人と同人物とは思えませんねえ、どちらかと言うと清潔な感じの強い役柄ですのにね。さすがです、はい。)
 いったんは貧しい場末の町にありがちな、万引きから始まる犯罪社会に身を起きながらも、娘のために更正を誓い雑貨店の店主として暮しているジミー、事件の夜、デイヴはバーでジミーの娘ケイティを見かける・・・デイヴは貧しいながらも、妻セレステと可愛い息子とともに、事件の陰に引きずり込まれまいとして必死で生きている。やがて深夜3時、デイヴは血まみれになって家にに帰って来た人を殺したかもしれないと言って。しかし翌日、デイヴには何の陰もない・・・ケイティーが殺されたニュースを見た妻のセレステ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)は、そんなデイヴに疑いを持ちはじめる。ショーンは相棒のホワイティー(ローレンス・フィッシュバーン)がデイヴに目星をつけるも、冷静に犯人を追い詰めて行く。しかしながら、ジミーはショーンの調査がもどかしく待てない、遂に、犯人を自分の手で始末しようと動き始める。ケイティーは一体誰に殺された?事件は意外な展開に・・・しかし、ジミーには遅すぎたのである。デイヴは何故あの夜血まみれだったのか・・遂にデイヴは告白しはじめる・・・そして、悲劇が起った。
 ん〜〜〜物語の性質上、これ以上はすすめられませんが、最近の流行りでしょうかねえ・・・こういう結末って。クリントが現実主義だって事も、ようよう判っちゃいるんですが、これのせいで、ゴールデングローブも逃したかな〜と思ってしまうなあ。こういうと、読んだ方は余計に気になるでしょ!?気になったら是非見て下さいまし。映画としての役割とは如何にあるべきか?まるで、アメリカ合衆国の政治現場にいるような悩みを持ってしまうかもしれません。

2004年2月

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