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Chissarossa の I LOVE CINEMA 5

〜 夏だ、冒険だ! トレジャー・プラネット 〜

 今月は夏休みなので、お子様と見られる映画というのに注目!
 「トレジャー・プラネット」・・・つまり、『宝星』ね。題名って大切〜〜って、つくづくディズニー映画の公開のたびに思っちゃうわよね。『宝星』じゃあ見たいって思わないもの。直訳『宝星』って書くとすぐ連想できる方も多いと思うけれど、そう、つまり「宝島」宇宙版ってわけ。だからして、内容は何の疑問もなくオーケー!少年・少女の心はわくわくドキドキ間違いなしで、保証いたします。
 まず、SFX大流行の中、もともとのお話のイメージを大切にと言う事でしょ、18世紀の雰囲気が守られるよう古典的な絵画的手法(「バンビ」なんかで見られた油絵的描き方)と、且つ、少し3D画面を駆使というバランスの良い混合がとても素敵。これは、このアニメーションではとても重要なことと思うのです。おかげでテクノロジー頼りの冷たい感じでなく、人間的で優美なデザイン!例えば、ロケットとか、宇宙船とか等、人生の旅立ちってのは航海とか船出って言葉がやはりぴったり、だから此処はやはり【船】でなくっちゃ、しかも、セイリング(航海)するには、帆船・・・というわけで、これが実に綺麗で優雅な帆船スタイルの宇宙船!ついで、見た目だけでなく中身も充実。今時の子ども達はいろんなビジュアルの影響やら、目覚しい科学の発達で何知ってるやら解らないから、例えば、重力なんて問題も“人工重力作動”でクリアしてるし、帆船の帆は“ソーラーセイル”なんて現実に研究が続けられている太陽の光波利用するものを使っていたりと漫画的嘘八百ではないし、青少年の夢はただの漫画では収まらない・・・と納得してしまう仕掛で満足、満足。船長は猫科の女性ってのも素敵!今時で人権意識高い!!これは、ジェンダーの視点でも、子ども達にはとても大事なことで、此処のところのメディアの責任は重大と思うから、誉めちゃいます。

 さて、ストーリーはお馴染み?母親と二人暮しのジム・ホーキンスは、トラブルばかり起こして心ならずも愛する母を困らせてばかり。ある日、不時着船の瀕死の男を助け出す。彼から預かった箱の中には黄金の金属球、それは、伝説の「トレジジャー・プラネット」の位置を示した宇宙地図だった。ジムは苦労ばかりかけている母を喜ばせるため、劣等性の烙印を剥すため、自分の力を試すため、ドップラー博士と宝を探す旅に出る。苦難を乗り越え、彼が手に入れたものは少しの宝物と・・・・!?
 「おめえはすげえことができる力を秘めてる。でも、自分で自分の舵を握り、進路を決めなきゃだめだ。そして、最後までやり抜くんだ」この言葉を吐くのは悪役のジョン・シルバー。これは、わたくしだって、かつて訳のわからない衝動や情熱で自分を持て余していた頃の我が姿を思い出し、心に響いたのなんの。この言葉をひそかに反芻してみて!心持まっとうな?人間なら、今だって心がチクチクするから。この、たかがアニメーションの中で、こんなにも生きるのに大切なこと、われわれ大人が子ども達にきちんと伝えなければならない事柄が、実に解りやすく、奇をてらうわけでなく自然に伝えられている・・・・考えれば考えるほど、ありがたいことですねぇ。一体、これで何人の少年少女が目覚めたことやら、救われたことやら・・・(いや、少年少女だけではないかも?)。漫画と言うだけで敬遠されてしまうことが多いけれど・・・なんのなんの、映画にやくざ映画もあればポルノもあるのと一緒で、漫画にもいろいろありまして、芸術的な映画だけが映画なのではないわよね、ほんとに。たかがディズニーの漫画、しかし、侮ることなかれディズニー映画!・・・でした。

2003年8月

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