Chissarossa の I LOVE CINEMA 3
最近のテレビ局も、視聴率を上げなければならない・・・という宿題を背負ってか、愁傷にも、シリーズものの映画公開前日に、前回の映画を放映する仕組みとなってきている。それで、今回はシリーズもの第一弾に、G・Wから賑わした「X-メン」「X-MEN2」を取りあげてみようと思う。
「X-MEN」シリーズは、バットマン等と同じく、アメリカの人気コミックを映画化したものである。であるからして、ストーリーは単純にして明快。勧善懲悪だから、お子様だって平気で観ることが出来る・・・というアクション映画の優れものなのである。
人間の持つ未知の能力が、思春期などの濃密なエネルギー変化時に、突然変異し、ミュータントが出来上がる・・・という仮説と可能性を前提にストーリーが作られている。まずは「X-メン」。人間との共存を善しとする、prof.エグゼビア率いる【X-NEN】対、ミュータントが人間を支配すべきと、マグニート率いるミュータントテロ組織【ブラザーフッド】との戦い。「X-MEN2」は、合衆国大統領がミュータントに襲われるという事件をきっかけに、ミュータントを憎むストライカーが国家権力を逆手にミュータント絶滅に乗り出すため、前回では敵同士だったX-MENとブラザーフッドが何とか手を取り合い反撃に乗り出す・・・というストーリー。
いずれもテーマは“常に未知なる物、強いものに対する人間の恐怖こそが脅威を作り出し、愚挙に及ぶこと、そして、そこから始まる迫害と抵抗を問い、共存こそ生きる道だ”とするものである.所詮、コミック原作という単純さは否めないが、テーマはなかなか重厚である。
そして、私がこの映画で最も興味を持ったのは、そのキャスティング。ミュータント第一世代として超能力者のprof.エグゼビア=パトリック・スチュアート(スタートレック、ピカード船長)、マグニート=イアン・マッケラン(ロード・オブ・ザ・リングのガンダルフ)・・・両サイドの重要ポイントの役が同世代にてイギリス人、どちらも負けず劣らず本格的名舞台俳優。第二世代に主人公の超治癒力を持ち、手の甲から金属の刃が出てくるローガン=ヒュー・ジャックマン、天候を操れるストーム=ハル・ベリー(チョコレート、アカデミー主演女優)、強大なテレパシーと念動力の持ち主ジーン・グレイ=ファムケ・ヤンセン(007ゴールデン・アイの悪役ボンドガール)、両眼から破壊光線を出すサイクロップス=スコット・サマーズ(アリーmyラブのアリーの恋人)、第三世代に、接触した相手の生気を吸い取ってしまうローグ=アンナ・パキン(ピアノレッスン、最年少アカデミー助演女優賞)・・・とまあ、よくもこれだけ揃えたもの。その所々の台詞のユーモアも実にセンスよくちりばめられていて面白い。勿論ミュータントの仕掛(能力)は絶品!これはもう語るより、観てのお楽しみ以外にない!
2003年6月