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ESSAY

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ビジネスの周辺 2

住まいについて

亜麻里

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 「郊外の住宅地って専業主婦のための街だよね。」先日友人からのメールにこんな言葉を見つけた。働く女性のネットワークの代表であり、フリーライターでもある友人は、ある芸能人の家族の取材に郊外の住宅地へ出向いたらしい。たしかに環境はよく広々としているが、何と言っても中心部からは遠い。おまけに少し遅い時刻になると電車の本数は減るし、駅からのバスはなくなるし、とてもじゃないけれど毎日通うには無理がある。「○○さん(取材先の芸能人)も専業主婦の奥さんがいるからあんな所に住めるんだよ。」

 彼女も私も大阪市内の交通至便というマンションに住んでいる。昨年長女に続いて長男を出産した彼女は、子供二人で手狭になったマンションを移ろうと現在新しい住まいを物色中。実は郊外に一戸建ても所有しているということだが、とてもじゃないけれど子供二人、しかも乳児を抱えてアクセスの悪い郊外に住みながら毎日仕事をすることはできないと言っていた。私の方も中学になったとはいえまだまだ甘えたい一人娘との二人暮らしで、仕事と大学院の学生と母親をこなすにはお家賃が少々高くても無理して便利な所に住むしかないのである。それに付き合いで遅くなることもあり、すぐにバスのなくなるような所ではタクシー代だってばかにならない。出産後肝臓を悪くしたこともあり、若い頃のように無理をするのもちょっと不安である。

 彼女の新居探しはなかなか進まないらしい。現在の住まいは仕事場の近くで、交通の便も良い。保育所もいるし(この保育所がなかなか入れないが)ということになると、親子4人で住める3LDKで最低18万円ということになる。「ねえ、日本の住宅政策っておかしいよね。人間らしい生活をしたいと思うだけで贅沢だって言われるんだもの。」同感、同感。

 先月ソウルでお会いした親日家で、妹さんが日本に住んでおられる李氏は「日本人は戦後一生懸命働いてアジアのお手本になった。一生懸命やれば国を富ますことができるという希望を与えた。でも、日本が一つ間違ったことは、国は富んだが、国民は必ずしも豊かにならなかったということだ。狭い住宅を見ていると国が得たお金の使い方が間違っていたんだという気がする。」とおっしゃっていた。
 郊外に住む男友達は、「ニュータウンというのは妻と子供のための街だよ。毎日通勤する男にとっては本当に疲れる。」とこぼしていた。

 男女の平均寿命がこんなにも開いたのは戦後になってからということだ。男は外で、女は専業主婦というのも実は戦後のことと聞いたことがある。
 働く女性の増加の中で女性の平均寿命も男性と変わらなくなってくるのだろうか?

1998年11月

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