知っていますか?出生前検査
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生命の始まりと終わりと
大島則子

 集計作業も終わりに入ろうとしている今日、テレビは脳死移植のニュースでもちきりです。人の生命の終わりをどこにするのか、それに何処まで人の手が関わることができるのか? 出生前検査のアンケートを実施していく中で、生命の始まりとそこに人為的な操作が加えられることの是非について考えてきました。
 生命とは何かという疑問への探究に果たした科学の役割は、確かにとても大きく目覚ましいものです。しかし『なぜ、生まれるのか。なぜ、生きるのか?』という疑問を科学一人では明らかにできないことは、今日でも変わりはないと思うのです。科学技術や理論の専門家はいても、生きることの専門家はあくまで生きる本人一人一人であると思います。アンケートの回答を通じて、多くの方々が『妊娠、出産はあくまで個人のもの』という姿勢を示しておられたことを心強く思いました。
 私自身についていえば、産科医にはいかず、まっすぐに助産院に行ってラマーズ法を選択し、その後なんとか大過なく過ごして19年を越しました。しかし、障害を始め、様々な不幸(?)、ハンディ(?)などはいつでも我が身になり得るという実感は常にあると言ってもいいでしょう。それを恐れとしてでなく自分の人生の一部として受けとめていくという姿勢で日々を過したいと思うのです。
   アンケートを通じて多くの障害を持って生きておられる方々から、またこれからどう生きようかと迷い悩み考えている方々からたくさんのことを教えていただきました。ありがとうございました。

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梅村こども診療所