知っていますか?出生前検査
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今終わりを迎えるにあたって
加藤知美

 「良かったらアンケートに答えて下さい」と言われ、軽い気持ちで受け取ったこのアンケート。ちょうどマスコミでも出生前診断についてよくとりあげられていて興味があったので、アンケートの最後に「結果が出たら見せてください」と一言書いて出したのがきっかけとなり、今回のアンケートの集計に参加できるとは思ってもいませんでした。
 まずこの結果を読む前に、京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)のアンケート結果を読みました。そしてあまりに多くの思いがずっしり詰まっていることに圧倒されてしまいました。「これはとんでもないものに参加してしまったかも」という思いと、「私以外の人はどんな風に考えているのだろう」という思いでそのまま一気にこのアンケートも読みきってしまいました。
  私は今回特に障害のあるお子さんを持つ方のアンケートを中心に作業に携わってきてとても考えさせられました。皆さんとても率直に意見を述べてくださっていて、そのまま感情が伝わってきて、何度も読んでいるうちにどんどんそれぞれの意見の重みが増し、これをそのまま全部載せられないのはつらいなと苦しみながらまとめました。

 障害のあるお子さんを持つ方の中には、「この子を育てることによってとても勉強になる」というとても前向きな意見の方も多く、健常児の子を育てていてもそんな風に謙虚でない私はすごいなと感じ、またその一方でまだ立ち直っていなかったり、そんな風には考えられないという意見の方もいて、やはり皆さん現実を直視し自分の中で消化するのは大変な問題で時間もかかるのだと思いました。
 私を含めて多くの人は健常児を育てていると障害のあるお子さんに出会う機会がほとんどありません。たまに街で見かけてもどう接してよいのかわからず、普通に接しようと意識していること自体が、私に差別意識があるのかしらと思ってしまいます。本当は子供の時から自然に一緒に暮らす環境であれば、人々の意識は変わっていくと思います。出生前検査をして障害のある子供をどうするか考えるより、いろいろな人がいることを皆が認め、もっと一緒に暮らせる社会にしていかなくては、医学が進歩して良い方向に行くように見せかけているけれど、根本的に何も解決していないと考えます。
 皆さんのアンケートを読ませていただいて改めて出生前検査について、障害者差別についてなどとても考えさせられました。そしてまだ私自身の中でもこうだという結論はでていませんが、今までは関係のない問題のように考えていたことを時間をかけて考えていきたいと思っています。これを読んで下さった方にも、考えるきっかけになればと思います。

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梅村こども診療所